やがて、時間が午後10時になり
テーブルで向かい合わせで
お茶を飲んでいた玲奈が口を開く。
「そろそろ帰るね。」
「え・・・もうそんな時間なんですか・・
次はいつ会えますか?」
“ねる”は玲奈に恋愛感情を抱いており
玲奈が帰ることに寂しさを覚えていた。
「実は暫く仕事で遠くに行くから
具体的なことは言えないの。」
「そうですか・・・」
玲奈が公安の警察であることは
知っているので
“ねる”はこれ以上は
なにも言えなかったのである。
「仕事がかたずいたら連絡するからね。」
寂しそうな顔をする“ねる”に向かって
玲奈は笑顔を投げかけた。
「はい・・・」
“ねる”は弱々しく答えた。
玲奈は変える支度をして
玄関で靴をはいてふりかえる。
「戸締りするのよ。」
「はい、駅まで送らせてください。」
“ねる”は少しでも玲奈の傍にいたいのだ。
「駄目よ、もう遅いから
お風呂に入って寝なさい。」
「でも、私、玲奈さんと
もっと一緒にいたいです。」
“ねる”は今にも泣きだしそうな表情をする。
すると玲奈は“ねる”を軽く抱きしめた。
「仕事が終わったら休みを取るから
その時は映画でも行きましょう。」
「ほんとですか?」
「ええ。」
「楽しみにしてます。」
“ねる”は少し元気がでたようだ。
玲奈は名残惜しそうな“ねる”を尻目に
マンションを後にした。