ガラスを割れ ―In the moonlight―9(終) | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

 

阿部太郎の自宅。

 

彼は応接間で電話していた。

 

「色々、根回し感謝するよ。

今度の人事異動の時は

それなりのポストを用意するからね。」

 

どうやら電話の相手は

警察の上層部の人間のようだ。

 

太郎は電話を切るイスに深々と座り込む。

 

「ふぅ~これで一安心だ。

 80歳も超えると

やっぱり運転をしてはいけないな。」

 

阿部太郎は少し目を瞑った。

 

そして目を開けると

なんと女性がたっているではないか。

 

「だれだ?」

 

「平手友梨奈、名前は覚えなくていいよ。

 地獄に行っても

 何度でも殺してあげるから。」

 

友梨奈はそう発言すると

サバイバルナイフをホルダーから抜いて

阿部太郎の心臓を突き刺した。

 

何が起こったのかわからないまま、

阿部太郎は絶命した。

 

友梨奈は

阿部の自宅から

煙のように姿を消したのであった。

 

 

その夜、友梨奈は

何時ものようにビルの屋上にいた。

 

仰向けになり、

まるで全身で月の光を

吸収しているように見えた

 

「終わったよ。」

 

友梨奈が発言すると

何時ものように飛鳥が

寝転がる友梨奈のそばにいた。

 

「あの阿部太郎を簡単に仕留めるなんて

 貴方は本当に化け物ね。

 私がかなう相手じゃないわね。」

 

「本当の化け物は私じゃないよ。」

 

友梨奈は化け物と聞き

松井玲奈の顔が浮かび

とっさに答えてしまった

 

「え??」

 

「なんでもないよ。

飛鳥、色々、気を遣わせたね。

ありがとう。」

 

「貴方に礼を言われる筋合いじゃないわ。

 私は依頼人の為に行動しただけ。」

 

「飛鳥とはまた会える気がするよ。」

 

「敵として会うのは遠慮したいわね。」

 

飛鳥の言葉に

友梨奈が笑みを浮かべた。

 

「じゃあね、平手友梨奈。」

 

飛鳥は姿を消した。

 

 

友梨奈は

月の光を浴びながら“ねる”を想った。

 

「私は地獄に落ちるから、

あの世では“ねる”と会えないね

さよなら“ねる”。安らかに眠ってね。」

 

友梨奈の呟きが月の光を借りて

天まで届くようだった。

 

to be continued