私は病室にいる男に問いかける
「貴方は誰なの?」
「俺は玲奈の仲間だよ。内藤剛志だ。
よろしく平手友梨奈さん。
玲奈を守ってくれて礼を言うよ。」
「そうだ、玲奈さんは?
玲奈さんはどうなったの?」
私は上半身を勢いよく起こしたが
手術したのであろう、傷口が痛んだ。
「重症の体だ。安静にしろよ。
心配するな、玲奈は田原を暗殺して
西野七瀬と海外へ逃げたよ。」
その言葉を聞いた私は安心して
ベッドの横になった。
「よかった・・・玲奈さんは七瀬さんと
無事に逃げられたんだね。」
「非道の殺し屋、
平手友梨奈と噂には聞いていたんだが
やけに優しいことを言うんだな」
内藤さんは少し不思議な表情をしていた。
「玲奈さんが甘い人なんで、
それが移ったんですよ。
でも、折角助けて頂いたんですが
私は捕まったら死刑なんで余計な労力を
使わしてしまいましたね。」
「君は玲奈を庇って死にかけたんだ、
玲奈はこの先も多くの人を助けるだろう。
その玲奈の命を救ったんだから
もう、罪は償えたよ。
後は好きなように生きたらいい。」
「今更、普通の生活なんか
送れないしなあ・・・」
「だったら、俺の下で働かないか?」
「え???」
「玲奈の後釜にどうだ。
晴らせぬ恨みを
代わりに晴らす暗殺業だ。」
玲奈さんの仕事を私が引き継ぐ
考えてもいなかったなぁあ・・・
でも、玲奈さんに言われたよな、
一人でも多くに人を助けて罪を償えって・・・
「わかりました。お手伝いします。」
「やけに簡単に引き受けたなあ、
本当にいいんだな。」
「ええ、玲奈さんの仕事なら
やりがえがありますから。」
「よし、わかった。ここが俺の店の住所だ。
BARを経営している。
退院したら一度顔を見せてくれ。
連絡用にこのスマホをもっていてくれ。」
内藤さんはスマホを机の上においた。
「じゃあな、暫くは入院だろうけど
俺の知り合いの個人病院だから
警察には通報されないから安心しろ。」
内藤さんは出て行った。
またかこんな展開になるとは・・・
でも拾った命だ。
玲奈さんの真似をして生きるのも悪くない。
それから、3か月後
(第三者視点)
深夜1時の新宿
飲み屋街の片隅で一人の男性が電話をしていた。
「三田村明人さんですね。」
「だれだ、お前は!」
急に気配を察した三田村は
スマホを落としてしまい体をのけぞった。
「平手友梨奈です。
そのうち追いかけますから
地獄に行っても私の顔と名前を忘れないでよね。」
友梨奈はサバイバルナイフを取り出して
不敵な笑みを浮かべる。
こうして、友梨奈は玲奈の後を継ぐのであった・・・
FIN