サヨナラの眼差し―哀しき戦士たち―29(終) | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

珠理奈が七瀬の部屋を出た時

玲奈はマンションのエレベータに乗って

自分の部屋の階を目指していた

 

まさに今、

玲奈と珠理奈が再会しようとしていた。

 

だが、珠理奈はエレベーターを使わずに

階段で下に降りたのだ。

 

丁度階段を一段降りたときに

エレベーターが到着して玲奈と珠理奈は

またしてもすれ違いに終わる。

 

玲奈が帰ってくるとすかさず七瀬が口を開く。

 

「たった今、

私を助けてくれた刑事さんが

挨拶に来てくれたんですよ。」

 

「挨拶??」

 

「事件が終わったんで

東京にかえるんですって、

若い女性なのにホント信念の

強い人でしたよ。」

 

「へぇ~~そうなんだ。」

 

「たしか、松井珠理奈さん

て云うんですよ。」

 

「え!??珠理奈??」

 

「どうかしたんですか?玲奈さん??」

 

七瀬は玲奈の反応に驚いた。

 

次の瞬間玲奈は部屋を何も言わずに

飛び出したのだ。

 

呆然とする七瀬。

 

(珠理奈が・・・

珠理奈が来ていたんだここに!)

 

玲奈は珠理奈に逢いたい一心で

我を忘れてマンションを飛び出した。

 

そして駅に向かって走ったのだ。

 

そして、駅に向かう道の

最後の信号が赤だったので

玲奈は歩道橋を駆け上がった。

 

すると肉眼で珠理奈らしき女性を発見する。

 

目に涙が溜まってくる玲奈であった。

 

(珠理奈・・・珠理奈!)

 

心で叫ぶ玲奈だった・・・

 

だが、次の瞬間スマホが鳴ったのだ。

 

七瀬からだった。

 

急に飛び出したので

七瀬は心配してきたのだ。

 

(そうよ、もう私は珠理奈の中では

死んだことになっているのよ。

今さら会ってもどうしょうもないじゃない。

私は犯罪者、珠理奈は警察官。

もう、交わることがないもの)

 

玲奈は電話に出た。

 

「どうしたんですか?

急に飛びだすから驚きました。」

 

「ごめん、駅に忘れ物を思い出したんで

急いで駅に来たの」

 

「そうだったんですか!

気を付けて帰ってきてくださいね。」

 

「直ぐに帰るからね。」

 

玲奈は電話を切った。

 

そして、駅に向かって呟くのである。

 

「珠理奈・・・幸せにね・・・」

 

玲奈は振り向いて来た道を引き返した。

 

歩道橋に映し出される玲奈のシルエットが

妙に悲しく感じた

 

ある日の一コマだった・・・

 

to be continued