私は玲奈さんの部屋に戻り
救急箱を持参した。
そして、消毒液を傷口につけて
包帯を素早くまいた。
「ありがとう七ちゃん。」
その言葉に私は安堵の笑みを浮かべる。
未央奈さんはまだ泣いていた。
だが、手当てが終わったのを察して
立ち上がる
「ごめんなさい、玲奈さんを傷つけてしまって
私・・・私・・・」
すると玲奈さんは未央奈さんを抱きしめる。
「未央ちゃんは独りじゃないよ。
それに未央ちゃんは強いよ。
強いから絶対にこの悲しみかを
乗り越えられるよ。」
その言葉に未央奈さんは涙を流しながら頷き
安らかな表情をする。
同じだ・・・
あの時の私と同じだ。
玲奈さんの聖母のような慈愛の優しさが
未央奈さんの心の傷を癒している。
「後かたずけは明日にして、
今日は私の部屋で
未央ちゃんの誕生日のお祝いをしよう。
なにもないけど、うちにおいでよ。」
「いいんですか?」
未央奈さんは遠慮がちに言った。
「うん、ね、七ちゃんいいでしょ?」
玲奈さんは私に同意を求めてきた。
本音を言えば、玲奈さんとの
二人きりの時間を邪魔されたくはない。
でも、玲奈さんに救われた私が
そんなことを言えるはずもなく
私は同調する。
「はい、人数が多い方が
楽しいですもんね。」
「そうよね。じゃあ、珠理奈も呼ぼうか!」
玲奈さんは珠理奈さんにラインを送った。
どんどん、人が増えていくよ。
でも、仕方がない玲奈さんは
傷ついた人を放置することはできなのだ。