次の日
珠理奈が朝6時に
喫茶グリーンに出勤する。
「おはようございます。」
「おはよう!」
「昨日は気を回してもらって
ありがとうございました。
それで・・あの・・・」
珠理奈はなにか歯切れが悪い。
仲居はコーヒーを沸かしながら
言葉を発する。
「この街を出て行く必要はないよ!」
「え??」
「おまえのことだ、
玲奈さんと逢う可能性が
あるとわかった途端、
この街から姿を消したほうが
いいと思ってるだろう?」
珠理奈は否定しなかった
「でも、それは間違いだよ
この街には珠理奈を必要としている
人間が沢山いるんだ。
その人達が悲しむことを
玲奈さんが喜ぶと思うか?
もし、偶然今度玲奈さんと再会した時は
なにも考えずに素直に行動したらいい。
きっと、全てが上手くいく気がするよ」
その言葉を聞いた珠理奈は
最初真顔だったが、暫くして
笑顔を浮かべて言い放つ。
「ありがとうございます。
でも・・・私は
玲奈ちゃんが一番なんです
だから、彼女の幸せを邪魔する要因は
作ってはいけないんです。」
珠理奈はそう言って、退職願を
仲居に手渡したのだ
「仕方ないか・・おまえは
本当に不器用なやつだよ
でも、そこがお前のいいところだ」
仲居は微笑み珠理奈の頭を
軽くポンポンと叩いたのだ。
「今週の金曜日まで働かせて頂きますね。」
「ああ・・よろしく頼むよ・・」
仲居は再びコーヒーを沸かし始めた
不器用な生き方しか出来ない
珠理奈になんとかその想いが
報われて欲しいと思う仲居であった