私は急いで指定の公園に出向いた。
時計の針は午前9時を回っていた。
玲奈ちゃんの指定する
小さな公園に到着した
すると玲奈ちゃんが
ベンチに腰掛けているのがわかった
「あ!珠理奈~~~」
玲奈ちゃんは座ったままこちらを向いた。
私は辺りを見渡した。
まだ、時間が早いこともあり玲奈ちゃん以外
『生きている』人はいなかった。
そして、玲奈ちゃんが座るベンチから
30mぐらい前方に
またも口から血を吐いた女性が倒れていた。
「玲奈ちゃん・・・まさか、また・・・」
「うん、あの人はもう死んでるよ。」
「警察に電話しないと・・・」
私は急いで警察に連絡を入れた。
電話を切ると玲奈ちゃんに話しかける。
「一体、どうなってるの?
なんでまた、自殺した人の近くに
玲奈ちゃんがいるの。」
「私の知り合いなの。
死にたいって言うから私が見届けたの。」
「おかしいよ。最初から自殺するって
知っていたんでしょ?
なんで止めないの?」
「死にたい人を
無理矢理止めてもいいことないよ。
だから、私は最後を見届けてあげたの。」
「それ、本気でいってるの?」
「うん、本気だよ。」
玲奈ちゃん目に曇りはなく
堂々と私を見つめている。
やっぱり普通じゃない・・・
高校時代、飛鳥さんが自殺した時
もっと踏み込むべきだった。
玲奈ちゃんとつき合いたいが為に
私は大事なことから目を背けていた。
「玲奈ちゃん、間違ってるよ。
命は何よりも大事なんだよ。
知り合いが自殺しようとしているのに
止めないのって非常識だよ。」
「私は死にたいのに
無理矢理止めるほうが非常識だと思うよ。」
「・・・・・」
堂々と言ってのける玲奈ちゃんに
私はこれ以上返す言葉がなかった。