見せない涙はいつかきっと ーキセキー2 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

私はドアの鍵を開けて彼を招き入れる

 

「お久しぶりですね。香取さん。」

 

「ご無沙汰しています。」

 

香取さんは深々と頭を下げた。

 

「どうしたんですか?こんな夜に。」

 

「この間、山本さんに偶然会いまして、

 玲奈さんが未だに珠理奈様の死から

 立ち直れていないと聞きまして

 様子を伺いに来ました。」

 

山本とは私の友人で、

死んだ珠理奈にも

優しくしてくれた、山本彩のことである。

 

「情けない話です。

珠理奈を元気づけていたはずが

結局、私が珠理奈から元気を

もらっていたんです。

珠理奈が死んで、

元気がもらえなくなった途端

毎日、涙が出てくるんです。」

 

「仕方ありませんよ。それだけ、

貴方たちは愛し合っていたんですから」

 

香取さんは玄関で立ち尽くしたまま発言した。

 

「玄関ではなんですし、

 上がってください。」

 

「いえ・・・ここで、構いません。

 明日はお休みですよね?」

 

「え??・・あ、はい。」

 

「今から、ホタルを見に行きませんか?」

 

「え??今からですか??」

 

「お忘れですか??

1年前、珠理奈様の墓参りで

ご一緒したとき、

珠理奈様と一緒に見たホタルを

また見にいこうと言ったのは玲奈さんですよ。」

 

そうだった・・・・

 

香取さんの案内で珠理奈と

ホタルを見にいったんだ。

 

あの時の珠理奈の笑顔は

今でも忘れられないよ。

 

「そうでしたね・・・

じゃあ、連れて行ってくれますか?」

 

「かしこまりました!」

 

こうして、私は香取さんと1年前に

珠理奈と訪れた蛍のいる場所に

向うのであった。