サヨナラの眼差し~哀しみの黒いコート~
酒屋の前にある自動販売機で
男がビールを1缶買って、
飲みながら帰路へ向かっている。
「ちくしょう~今日も負けた!」
男はパチンコで大負けして
やけ酒を飲んでいたのだ。
今は夜の10時、辺りは静かで街灯も少ない。
そんな時だった、
前方から黒のコートをきた人物が
歩いてきた。
男は気にとめることなく歩いている。
すると、黒のコートの人物が話しかける。
「城山さん、城山祐二さんですよね?」
「そうだけど、おたくだれ?」
城山は黒コートの人物に近づいていった。
「女か・・・よくみたら、
いい女じゃん!俺と飲まないか?」
そう、黒コートの人物は松井玲奈であった。
「蒼太君からの依頼!!
あんたの命300円よ!
それぐらいあなたの命は軽いわ!」
玲奈は素早くアイスピックを左手裾から
取り出し、城山の心臓を刺した。
そして、回り込みハンカチで口を押さえる。
「地獄で鬼達と飲むといいよ!」
アイスピックを抜くと城山は倒れ込んだ。
玲奈は半年ぶりにこの街に舞い戻り、
かつの恋人・ジュリナが着ていた黒のコートを
身につけ、再び殺しの仕事を
請け負っているのだ。