吸血鬼といわれた玲奈と普通の人間である珠理奈が
同居を始めて半年が経過していた。
珠理奈は運送会社の事務員として働いており
玲奈は花屋でアルバイトとして
販売の仕事をやりつつ家事もこなしていた。
午後18時過ぎ、珠理奈が仕事から帰宅する。
二人は2DKのマンションに暮らしていた。
「玲奈ちゃん~~ただいま!」
珠理奈が笑顔で帰宅した。
「お帰り。もうすぐご飯ができるから、まっていてね。」
キッチンに立つ玲奈が振り向きながら言った。
「ごめんね、何時も玲奈ちゃんばっかりに
家事をさせてしまって。」
「何言っているの。あなたは社員として、
働いているのだから
アルバイトで比較的時間に余裕のある私が
家事をするのは当然よ。
さあ、出来たから食べましょう。」
玲奈は白身魚のソテーをテーブルに運んだ。
玲奈は吸血鬼と呼ばれていたが、
実際には生き血を吸って、
エネルギーを摂取している訳ではない。
基本食生活は人間と一緒なのだ。
ただ、人間の血を吸い、
それを体内で毒物に変換して人間の体内に流し込む。
玲奈にとっての血を吸う行為は
相手を倒す時のいわば武器みたいなものである。
「おいしそうだな~いただきます。」
珠理奈は夕食をおいしそうに食べ、
その光景を玲奈は微笑ましく思いながら眺めていた。
(幸せだわ・・・珠理奈と暮らすことで
こんな気もちになれるとは思っていなかったわ)
玲奈は未だかつてない幸福感を味わっていた・・・
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