深夜に目覚めた。

月が傾き窓辺に光りを投げかけている。

風もない、静寂の中でラティアは天井を見上げていた。

 また、同じ夢だわ。

白い石を使った石畳、白塗りの壁、ゆるく長い登り坂が続く町並み。
金色の髪の青年、黒髪の乙女。
彼方の空が燃え、赤く染まっている。
燃える町。

それが何を意味しているのか分からない。
過去の記憶なのかもしれないが、それはあまりに象徴的で、いつもすぐに目覚めてしまう。

ラティアは起きあがると部屋を出た。
階段を下り始めると、背後からユリウスの声が聞こえた。

「どちらへ行かれるのです?」

「眠れないの。だから、少し外へ行こうと思って」

「バルコニーでは駄目ですか?」

ラティアは少し俯いて考えた後、顔を上げるとユリウスに言った。

「聞きたいことがあるの。外へ出ましょう。」

「番兵がいます。」

「だから、あなたに頼んでいるのよ。」

ユリウスが微笑してラティアに手を差し伸べた。

「では、バルコニーから出ることにしましょう。」