ねぇ、ユリウス。
あなた、あの伝説の皇帝に会った事があるのでしょう?
アレスも、伝説に出てくる銀のドラゴン。
あの大戦で戦ったの?
ねぇ、どうして此処へ来たの。
どうして、私をサウザードに会わせてくれたの?
なんだか、信じられないけれど、
すごく嬉しいわ。

でも、伝説が本当なら、
サウザードが封印した者が復活してしまうんでしょう?
サウザードの魔力が力を失って、抑えられなくなってしまうから。

ねぇ、どうしてサウザードは封印したのかしら、
こうなることが分かっていたのに。

また、ダークエルフやゴブリンや、
沢山の魔物が世界に溢れてしまったら大変だわ。

みんな物語だと思っているけど、
私は生まれたときから、
あなたが側にいてくれたから信じられる。

ねぇ、ユリウス。どうして黙っているの?
教えて、ユリウス。


窓の外には星が瞬いている。
柔らかな毛布から、小さな手を出して
傍らの長椅子に座っている、
ユリウスの頬に触れたラティアは、
痛みでも感じたように、手を毛布の中に戻した。



泣かないでユリウス。
私も悲しいわ。



気になさらずに。

悲しくもあり、嬉しくもあるのですから。



では、お話いたしましょう。



あの方はとても美しい方でした。
そして、とてもお優しい方でした。

戦場では黒い衣に長剣、
甲冑を纏わず、ドラゴンを操り、
天を翔るのです。

闇に燃え上がる蒼い炎は、
あの方の魔力。
銀の長剣からほとばしる様は、
いつ見ても震えるほどに美しい。