満天の星が瞬いている。
速い雲が煙のように流れて行くのが見える。

「油断だな。」

アレスの声に、ユリウスが振り向くと、
大階段の上に、アレスが佇んでいた。

「思考は無垢な少女。しかし、
魔力は陛下を思わせるものがある。」

「今まで、こんなことはなかった。」

「お前らしくもない。
昨日と同じものなど、何一つ無いのだ。
あらゆるものが刻々と変化している。
お前も、私も、世界の全てがな。
変わろうとしなければ、時代において行かれる。
我々は時代を紡がねばならんのだ。」

「何かが変わり始めているのだな。」

「私が結界を張って置いた。
魔力の動きで敵に感づかれるなど、
愚かなことは出来ぬからな。」

「そうか。」

放心したようなユリウスの様子に、
アレスが苛立ちを見せて言った。

「まだ、夢の中か?寝ぼけて出来る事など
何一つないのだぞ。私は暫く此処を離れる。
後五年もすれば、時代はいやでも動き出す。
後悔するなよ。」

「五年も経つ前に、呼び戻すかもしれない。」

「よかろう。いい知らせであることを祈る。」

そう言うと、一陣の風と共にアレスは姿を消した。



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