絶え間なく注ぐ膨大な水が、
しぶきをあげ、虹を描く。

滝壺で砕ける水は、轟音をたて、
爽快なる大気をつくり、
そこに訪れる者に浴びせかける。

全ての汚れを吹き払うように、

愚かな行いを打ち砕くように。



ユリウスは水辺の大岩の上に腰を下ろし、
春の野草がびっしりと生えた土手に、
もたれかかっていた。
春の草と土の匂いがする。

ぬけるような薄水色の空を、
真綿のような雲が、
ゆっくりと形を変えながら流れて行く。

鳥の声、一つ、二つ…三つ。

四種類ぐらいだろうか、今日は…。

苔にでもなったように、
じっと辺りの音に耳を澄ましていると、
滝の音の陰で、小枝の折れる音が聞こえた。

足音だ…。

鹿か?違うな

「こんなところで、何をしているのです?」

ユリウスは、不意に岩の上に飛び乗った、
青年に驚愕して、自らも飛び起きた。