「私は今、力が欲しいのです。
一つお願いがあるのですが、
魔術を教えて頂けませんか。」

「何の為に使う力だ?」

「人々を守るための力です。
剣では相手を確実に傷つけ、
殺めてしまう。
しかし、魔術を使えば、
戦いを止める方法が見つかると
思うのです。」

ユリウスは目を細めた。

「珍しい人間だな。
敵を殺さずに戦いを止めると?」

青年は目に決意の色を見せて、
座り直すと、膝に肘をのせ、
ユリウスの方へ身をのり出した。

「そうです、罪を犯した者は殺しても良い、
そう言う考えが、戦争を引き起こし、
人を殺す事を正当化する。

それを見て育った子供たちは、
自分達の考えに沿わない者は敵であり、
殺しても良いと思う。

世代は繰り返し、憎しみも繰り返す。
いつまでも戦争は止まりません。」

ユリウスは言葉を失った。

確かにこの人間は、今までの人間とは
少し考えが違うようだ。

「罪を犯したものは、その罪を償いながら
生き続けなければならないのです。」

「生きろと?殺すのではなく?」

「そうです。償うために、生きるのです。」

しばしの沈黙があった。

「そして、憎むべきは、
その罪を犯すに至った思考、
決断までの履歴なのです。
間違った判断基準を、正常化する。
それが、不可能な場合は、
二度と罪を犯さすように、
監視の元に、束縛するしかない。」

二人の視線が再び、
真正面からぶつかり合った。