「この刹那に意味あらしめる事。
そう申し上げました。
今、この瞬間をいかに生きるのか。
勝利と敗北。
安逸と労働。
奉仕と搾取。
闘争と従属。
どちらがより価値的で、
どちらがより深い満足を得られるのか。
死を前にして、
死を安らかに受け入れられるのは、
果たしてどちらだとお思いですか?」

ユリウスは深く呼吸を繰り返しながら、
黙していた。
言葉にならない思いを全身に
感じている。
これは、今まで自分が探し求めていたものではないのか?
だが、とユリウスは思った。

「困難と苦痛が幸福だといえるのか?
君は今のまま、残りの人生を平穏無事に
生きることも出来るのに、
あえて、それを捨てようと言うのか。」


「階段を上るようなものです。
平坦な道を歩くのは楽でしょう。
階段を上り続けるのは疲れる。
しかし、一歩、歩むごとに、
新たな視界が広がる。
より広い世界が見えるでしょう。
一歩をしるした意味がある。
苦痛と喜びは一体の物、
安逸の中に真の喜びは無い。」






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