薄暗い室内は、天窓から降り注ぐ光の帯で所々浮き上がって見えた。
風が吹くと天窓に懸かる蔦の葉が揺れ、部屋の光も揺れる。
部屋の中央に丸い机が一つ。
そこに肘掛け椅子が一つ。
隅の方には、小さな噴水のような物がある。
そこから水が溢れ、その周りに作られた溝に流れ落ち、どこかへ抜けて行く。
絶え間ない水音が耳に心地良い。
「この部屋はいくらでも広くなる。本来の姿を見せてご覧。」
女は肘掛け椅子に腰を下ろすと、アレスに促した。
「その必要はあるまい。未来を見る者に、私の姿が見えない訳はないからな。」
女が額を長い赤い爪で指し示した。
「ここでは見える。だが、ここでも見たいのだ。」
そう言って、自分の瞳を示す。
アレスがため息をつくと、部屋が歪み広くなった。
それと同時に、銀色の尾が波打つのが見えた。鋭い角、牙をそなえた銀のドラゴンは、首を振り、大きく翼を広げた。
女は瞬きもせず、笑みを消してアレスの姿を見上げた。
「美しき古のドラゴン。代々言い伝えられたままの姿だ。」
「これで満足か?」
「一つだけ聞かせて欲しい。何故、誇り高き汝が、英雄とはいえ人間に屈したのだ。」
アレスが天窓を見上げた。
変わらず、陽光が降り注いでくる。
「負けたからだ。抵抗する言葉一つ見つからなかった。初めて会ったその時から、私の全ては見通されていた。あの方は私以上に私を知り、私以上に私がなすべき事を知っていた。自分が生きる意味を与えてくれる者に抵抗できる者がいるだろうか?」
風が吹くと天窓に懸かる蔦の葉が揺れ、部屋の光も揺れる。
部屋の中央に丸い机が一つ。
そこに肘掛け椅子が一つ。
隅の方には、小さな噴水のような物がある。
そこから水が溢れ、その周りに作られた溝に流れ落ち、どこかへ抜けて行く。
絶え間ない水音が耳に心地良い。
「この部屋はいくらでも広くなる。本来の姿を見せてご覧。」
女は肘掛け椅子に腰を下ろすと、アレスに促した。
「その必要はあるまい。未来を見る者に、私の姿が見えない訳はないからな。」
女が額を長い赤い爪で指し示した。
「ここでは見える。だが、ここでも見たいのだ。」
そう言って、自分の瞳を示す。
アレスがため息をつくと、部屋が歪み広くなった。
それと同時に、銀色の尾が波打つのが見えた。鋭い角、牙をそなえた銀のドラゴンは、首を振り、大きく翼を広げた。
女は瞬きもせず、笑みを消してアレスの姿を見上げた。
「美しき古のドラゴン。代々言い伝えられたままの姿だ。」
「これで満足か?」
「一つだけ聞かせて欲しい。何故、誇り高き汝が、英雄とはいえ人間に屈したのだ。」
アレスが天窓を見上げた。
変わらず、陽光が降り注いでくる。
「負けたからだ。抵抗する言葉一つ見つからなかった。初めて会ったその時から、私の全ては見通されていた。あの方は私以上に私を知り、私以上に私がなすべき事を知っていた。自分が生きる意味を与えてくれる者に抵抗できる者がいるだろうか?」