アスペルガーは誰だ? 2
再びライブ会場へ戻った。しばらくするとそのさっき知り合ったばかりの後輩のドラマー君のバンドの出番となった。 バンドはラップとハードロックギターを掛け合わせたオリジナリティーのあるものだった。 僕は最後まで見届けてドラムの子と携帯番号を交換しようと思ったが、翌朝、用もあったしイベントも押し気味だったので3曲聴いて会場をあとにした。 というのは実はこのバンドのギタリストがウチのキックボクシングジムの会員で僕とは長い付き合いなので後日彼に聞けばいいと気づいたからだ。そしてその翌日、さっそくギタリストにメールを打った!
僕 「昨夜はお疲れ様です!ところで君んところのドラムの子と話した
ら後輩だとわかったのでまた宜しく言っといてね。 そして携帯番
号おしえてくれない? 交換するの忘れた!」
ギタリスト 「了解です! これドラマーの森君の番号です!
090-~~~~-~~~!」
僕 「ありがとう!」
まだ名前は聞いていなかったので彼が森君(仮名)だということがそこで初めてわかった。
後日、僕は彼に電話をすることにした。あれから一週間余りたっていたので少々タイミング外し気味ではあったが、とりあえずかけてみた!
僕 「~プルルルル、プルルルル、カチャ! もしもし森君ですか?
クランチマニアのギターでキックボクシングジムの会長でもあり
君の先輩でもある木原です!」
森君 「あっ、~~は、はぁ~! な、なんですか?」
森君の開口一番の反応はまったくの肩透かしで、この間コンビニで 話したときのテンションの高さからは予想もできないクールで無愛想なものだった。僕は出鼻をくじかれたがなんとか自分のペースへ引き込もうと努力した。
僕 「 この間のライブのときに近くのコンビニでいろいろ話したけど、
またバンドやキックのこと話したいなと思って電話しました。
番号は君のバンドのギタリスト猪上(仮名)君から聞きました。」
森君「はっ、はぁ。 そ、それで電話してくれたんですか!」
相変わらずトーンが低い!
僕 「ジムのこと興味あるようなこと言ってたけど、またいつでも遊び
にきてよ! ところで君、仕事何やってんの?」
この質問に彼は「この俺を誰やと思ってやがる!」とでも言うような
口調で声を荒げて応えた。
森君 「…だから、…僕はドラムだけで生計建ててるんですよ!」
僕 「…す、凄いねぇ~!」
森君 「別に、凄くゎ~ないですけどねぇ~…」
と彼は吐きすてた。
この間コンビニで見た気さくな彼の印象とは程遠く、実に不快な感情
がこみ上げてくる。「かけるんじゃなかった!」という後悔とともに引く
に引けない状況がそこにはあった。
僕 「…それ、俺の番号なんで登録しといてね。 でわ!」
僕は極度のイライラとストレスを抑え、なんとかその場を切り抜けた。
「…かなりの気分屋だな。この間のヤツとはまったく別人だぜ。この
多重人格野郎! こっちが気つかっていろいろ聞いてやってんのに
まったく会話を成立させようという姿勢がネェ~。俺に対する興味も
ネェ~。 もう二度とかけるかよ~! またひとり現れやがったな、
アスペルガーめ…!」
僕は実に無駄な時間の浪費と心労にやり切れない思いであった…。
つづく