後編。気持ちをくすぐって、「その気」にさせるデザイン。
さて、前編から中編にかけては、
わりとロジカルに「人はヒトに優しくなれるのか?」というテーマを扱ってきました。
では、もっとエモーショナルに、アイデアちっくに。
気持ちをくすぐって「その気」にさせるような、
「アイデンティティの問題にすり替えていく」
「行為者にも利益となるようにひと工夫する」といった方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
(これは中編の
「アイデンティティモデル」「結果モデル」に依拠)
あくまでテーマを「他人に優しくすることで利己的にもなれる環境づくり」とした上で、
以下では、方法別にざっくりとまとめてみたいと思います。
==================
利他的な行動を促すために、
相手を「その気」にさせる10の方法
==================
<アイデンティティの問題にすり替えていく>① 背後に潜む物語を具体的にみせていくもともと利他的な行動=利己的になるというアイデンティティを持ち合わせていない場合でも、
きちんとストーリーを語ることで好きになる可能性があります。
簡単にいくつか事例を紹介すると、まずは
・MOTHERHOUSE
http://www.mother-house.jp/もう何度かこのブログでも紹介させていただいてるので詳細な説明は省きますが、
このプロダクトの特徴はなんといっても、
「途上国から先進国に通用するバッグをつくる」
というミッションであり、その想いや生産者の顔も、購買者はみな知っています。
(これは普通の製品からしたら、驚くべきことです。)
ひとりの女性として、起業家として、社会起業家として。
その挑戦の物語を前面に押し出すことで様々な共感を集め、幅広い支持を集めています。
・Smalla. D.A.(2007)らの研究①
このポイントに関しては、もう少し学術的にもみていきましょう。
カーネギーメロン大学のSmalla. D.A.らは、以下のような実験を行っています。
彼らはある部屋に被験者を集めて適当にアンケートに答えてもらい、
その謝礼として5ドルを手渡しました。
そしてそれと一緒に、2種類のメッセージから片方のみを渡すことで2グループつくり、
その反応の違いを測定します。(メッセージは以下)
1.
統計的に貧困を訴える→「マラウィの食糧難は300万人の子どもに影響を与え、アンゴラでは国民の1/3にあたる400万人が難民や国内避難民となっています」など
2.
具体的にひとりの少女の貧困を訴える→「寄付金はすべてロキアという少女に贈られます。ロキアはアフリカのマリに住む7歳の少女であり、極貧生活のため深刻な飢えに脅かされています。皆様の寄付があれば、ロキアはもっと良い暮らしを送ることができます。」など
どちらか片方を読んで、受け取った5ドルのうち何ドルを寄付するか?という実験です。
結果は、
1の「抽象的で統計的な大義名分のための寄付」を読んだ人の寄付額は、平均1.17ドル
2の「具体的で個人的な支援のための寄付」を読んだ人の寄付額は、2倍以上の平均2.83ドル
でした。
個人的な物語を語った方が、
大きな問題を漠然と語るよりも人のココロを強く打つ、という実験結果です。
////////////////////////////////////////
これら2つの事例から、
背後に潜む物語を具体的にみせていくことで、
人の「私が支えたい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<アイデンティティの問題にすり替えていく>② 「なんか、そういう気分」を仕込む次にご紹介する方法は、
「人に優しくしたい気分」を仕込んでおくという方法です。
・赤ちゃんがうたた寝する動画動画をご覧になっていかがでしたか?
僕は子どもが好きすぎるので、これをみたら悶えます(笑)
そしてこのあとにボランティアや寄付について考えるとしたら、
きっと動画を観る前より観た後の方が積極的でしょう。
24時間テレビなどで多くの寄付が集まる理由の一つは、これに起因していると思います。
(もちろん①の具体的背景をみせる方法も併用しているので、相乗効果。)
感動する話や、気持ちが豊かになる動画を見聞きしたとき、
人は自分が思った以上に優しくなれます。
あらゆる政治家や軍部やエコノミストが毎朝こうした動画を観たら、
それだけで世界中はもっとよくなるのに。
・Smalla. D.A.(2007)らの研究②
さて、またこの研究者たちです。
先程ご紹介した実験に引き続き、以下のような実験も行っています。
やり方はさっきと全く一緒で2グループに分けますが、
今回はメッセージを「統計的・抽象的」に統一します。
ですが、片方のグループには
「『赤ちゃん』という言葉を聞いて思い浮かべることは何ですか?」
という質問に答えてもらってから、寄付額を決めてもらいました。
そしてその結果、
やはり
赤ちゃんについて考えたグループの方が、寄付額が多かったそうです。
////////////////////////////////////////
これらのことから、
「なんか、そういう気分」を仕込むことができる優しい何かをみせることで、
人の「ヒトに優しくしたい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<アイデンティティの問題にすり替えていく>③ 大きな物語の登場人物に仕立て上げる社会の問題に立ち向かう、ということは、
多くの人に取っては非日常的な行為かもしれません。
そして時に、それは大きなドラマ性をもって演出されることがあります。
・ホワイトバンド以前このブログでも紹介したホワイトバンドでは、
「3秒に1人、世界のどこかで子どもが死んでいる」をテーマに
とてもセンセーショナルなプロモーションが行われました。
その詳しい考察は以前の記事(
http://ameblo.jp/ryrientar/entry-10751319608.html)に譲るとして、
ここでは"大きな物語を演出する"という方法論に焦点を当てます。
問題とは、つまり物語でいうところの「悪役」です。
いまとなっては問題(コーズ)が溢れすぎてなかなか成立しにくいやり方かもしれませんが、
「長年倒せなかった悪役を倒せるかもしれない物語」は人を惹き付けるチカラがあります。
そしてそれを、
ひとりではなく「みんなでなら倒せる」感を醸成する。
その証明として、
わかりやすい"ホワイトバンド"が連帯感を強めていく。
いくつかポイントはあるかと思いますが、
方法のひとつとして参考になるかと思います。
・SNOWMEN AGAINST GLOBAL WARMING 
これは2010年度のカンヌPR部門で金賞をとったキャンペーンですが、
温暖化反対を訴える象徴として、街中に雪だるまを作成。
その手には、「HELP US」のプラカード。
しかし気候は暑く、雪だるまは溶けていく...というキャンペーンでした。
温暖化という特性、雪だるまに人格を持たせるといった巧妙な設定が功を奏し、
3日間でなんと2万人の人が雪だるま作成に協力したそうです。
雪だるまというわかりやすさや、
雪だるまづくりという楽しく簡単な参加方法、そして
みんなで悪者に立ち向かうという物語の醸成がうまい方法でした。
・World AIDS Day
簡単な例ですが、もういっこ。
このキャンペーンでは、
「foursquare」から、「#turnRED」というハッシュタグをつけてチェックインすると、
Google Mapにユーザ位置が赤く表示される仕組みを整えました。
これと「エイズ啓発のカラーとしての赤」という特性を併せて、
地図上をチェックインの真っ赤にすることでエイズを啓発していこうという取り組みでした。
普段通りのチェックインという行為が社会性を帯び、
また
みんなと協力して大きな問題へ立ち向かう感も醸成されるので、
効果的なキャンペーンだったのではないかと思います。
////////////////////////////////////////
これらのことから、
大きな物語への簡易的な参加を通して登場人物に仕立て上げることで、
人の「劇的な物語の主人公として生きてみたい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<アイデンティティの問題にすり替えていく>④ 問題の当事者に仕立て上げる「その気」にさせる方法として、
中にはちょっと強引な方法もあります。
それは、半強制的に参加させることで、問題を目の前につきつけるという方法です。
・注目を集めるOOH、アンビエント広告

一枚目は、本当に見たまんま。
温暖化で水中に埋もれてしまった人が、プラカードで問題を訴える広告。
二枚目は、強制的に問題に参加させる広告。
足の裏についたシールをみると、地雷が。
こうして強制的に目撃/参加させてしまうことが良いか悪いか、という視点はありますが、
関心を呼び惹き付ける、という方法としては確かに有効だと感じます。
・Burma Political Prisoners Art and Photo Installationビルマでは、不当に逮捕されている有識者が大勢います。
その方々を解放するために行われたのが、こちらのキャンペーン。
「署名」というなかなか注目を集めにくいテーマですが、
"牢獄の柵を署名のペン"に置き換えることで、
署名する=ペンをとる=牢獄から有識者を解放することを伝える、
素晴らしいクリエイティブのキャンペーンでした。
思わずペンをとりたくなるし、
ペンをとった以上は当事者として見過ごせない。
そんな意識が芽生えるのではないでしょうか。
・WHAT A PERSON CAN MISS A MACHINE WILL FINDこちらはポーランドの乳がん啓発キャンペーン。
アパレルショップのH&Mと提携して行ったのは、
「ブラジャーを買ったお客さんの買物袋に"防犯ブザー"を仕込む」というもの。
買物を終えたお客さんはそんなことも知らずお店を出るわけですから、
当然お店の入り口で引っかかってしまう。
そこで、「機械は見逃すことがないんです。乳がんもいっしょ。マンモグラフィー検査を受けてください」と、乳がん検診の大切さを教えるわけです。
強制的に参加させて当事者意識を持たせる取り組みとしては、うまいと思います。
また、この取り組み自体を体験するお客さんの数は限られますが、
取り組み自体が一種のCMとなってSNSで広まる効果もあると思います。
////////////////////////////////////////
これまでご紹介した事例から、
強制的にでも問題の当事者に仕立て上げることで、
人の「目撃/参加してしまったからには、見過ごせない!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<アイデンティティの問題にすり替えていく>⑤ 意外なところに関連性を見出す初めて会う人と共通点をみつけるとぐっと親近感が湧くように、
自分と遠い問題だと思ってたものと意外な共通点を発見することで、
無関心だった人の関与もぐっと高めることができるかもしれません。
・Charity Pinky Ring
http://charitypinky.com/jp/know.htmlこの活動は、国境を越えて「共感する女の子の共通点」を、小指の指輪で結ぶというもの。
目を背けたくなるような事実を並べるのではなく、
女の子だったら国境関係なく誰でも悩むことを、「共感できる共通点」とする。
複数の女の子の悩みや想いを紹介して、それとリンクしたカラーの指輪をつくり、
購買=国境を越えたペアルックとして応援する。
共通点の発見を共感のトリガーとした、うまい関係性のつくり方だと思います。
・Concert Milk
この事例は利他的行動が云々ではないですが、
とても大好き且つ重要な示唆を含むものなので、まずはぜひ動画をご覧下さい。
まんねりになっていまい、集客に悩むオーケストラ。
とった戦略は、なんと「牛に音楽を聴かせる」というもの。
オーケストラには興味なくても、牛乳は大好きな人々。
そこに、「良い音楽を聴いた牛の牛乳は、美味しいのでは?」という気づき。
そして実際に店頭で販売するという実行力。
素晴らしいキャンペーンだと思いますが、なかでも
自分のプロダクトには無関心でも、人々の大好きなものと関係性をつくることで関心事へ変えるという方法は非常に参考になると思います。
・The Lottery of Life
http://thelotteryoflife.co.uk/比較、という方法も思わぬところで関係性を発見させてくれます。
Save the Childrenのキャンペーンでは、
「どこに生まれるかはルーレットのように運次第」というタグラインのもと、
例えば「釣り竿を持つ少年は、生まれる場所が違えば銃を持っていたかもしれない」と訴えます。
全く関係のないと思っていたところに、
比較という方法を用いて関係性をもたせることができそうです。
////////////////////////////////////////
これらのことから、
意外なところに関連性を見出すことで、
人の「自分との関連性を発見すると、親近感が湧く!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<行為者にも利益となるようにひと工夫する>⑥ 選択する新しい理由をつくってあげる例えばミネラルウォーターをコンビ二の棚から選ぶとき、
そこに明確な基準は存在するでしょうか?
現在、消費財の多くに機能的な差はなく、ほとんどが同じものです。
だとしたらそこに「社会にイイコト」を付加することで、選んでもらう理由になるかもしれません。
・1ℓfor10ℓ
言わずと知れた、ボルヴィックの1ℓfor10ℓ。
いわゆるコーズ・リレーテッド・マーケティングですが、
「社会にイイコト」を付加することで新たな選択基準をつくりました。
・アサヒスーパードライ「うまい!を明日へ!」
スーパードライが現在実施しているのは、
売上げ本数に応じて自然環境や文化財を保護するというもの。
この手の例はあげたらキリがありませんが、
基本的な仕組みは1ℓfor10ℓと変わらないかと思います。
////////////////////////////////////////
これらのことから、
"ついでにできる社会にイイコト"という新しい選択理由をつくることで、
人の「どうせだったら社会にイイコトしたい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<行為者にも利益となるようにひと工夫する>⑦ 技術革新で、いいものをつくる社会にイイ、だとかそうした要因は差し置いたとして、
純粋にひとつのプロダクトとしてよりよいものをつくるという視点もあります。
・SOccketSOccketは、ハーバード大の学生が発明した
「発電できるサッカーボール」です。
キックされたり、転がったりして生まれる衝撃をエネルギーに変換し、
15分間のサッカーで、小型LEDランプ3時間分の電力が充電されるのだとか。
普通のサッカーボールで遊ぶより、
SOccketで遊んだ方が絶対お得、ですよね?
・Powernap
(動画)
http://vimeo.com/23386015WWFが提供するPowernapは、
個人用PCとモバイル端末とが連動する節電アプリです。
特にオフィスにおいて、PCの付けっぱなしという電力無駄遣いの課題があります。
これを無理なく削減できれば、個人としても自然環境としても、ハッピーですよね。
Powernapは、自分が離席したら自動的にPCがスリープ状態になり、
そしてさらに時間が経つと電源がオフになる、という仕組みを提供しています。
(もちろんBluetooth接続により、PCに近づけば電源はONに。)
////////////////////////////////////////
これらのことから、
技術革新によってきちんといいものをつくることで、
人の「やっぱりよりよいものを使いたい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<行為者にも利益となるようにひと工夫する>⑧ 行為自体を楽しくする何か人に優しくしたり手を差し伸べたりする時、
どうしても「偽善」という言葉がつきまとったり、何か重い行動のように思えたりします。
そうではなくて、
「
楽しいんだからやっちゃえばいいじゃん」という発想と、それを実現させるデザイン。
それらをご紹介いたします。
・面白い募金箱いろいろ
それぞれ詳しい説明はいらないくらいわかりやすいですが、
ひとつ目は、お金を入れると様々なギミックと共にお金の使われ方を教えてくれるデザイン。
ふたつ目は、コインを入れると水槽の水が溢れ、右脇の子どもの口に水が注がれるデザイン。
どちらも
「募金をする」という行為自体が楽しく、
思わずやってみたくなる仕掛けがあります。
・The Fun Theory自動車メーカーであるVolkswargenは「The Fun Theory」と題して、
「
楽しければ人はイイコトをする」プロモーションを展開しています。
階段をピアノにすれば、エスカレーターはいらない。
ゴミ箱がめちゃくちゃ深ければ、面白がって人はゴミを捨てたがる。
ドアをくぐるたびにスーパーマリオのコインの音がすれば、積極的にドアを持つようになる。
とてもシンプルで、強力な方程式だと思います。
「楽しい」という誰もが求める快楽を付加する、
という発想は、ひとつ参考になるのではないでしょうか。
////////////////////////////////////////
これらのことから、
利他的な行為そのものを楽しくすることで、
人の「楽しそうなものは体験したい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<行為者にも利益となるようにひと工夫する>⑨ 自尊心をくすぐる他人に対してイイコトをする、ということは、
ときに行為者の誇りを刺激して、自尊心をくすぐることにもなります。
・Levi'sWater
節水の促進という課題を抱えたLevi'sが実施したのは、
アプリを使って節水をゲーミフィケーションするキャンペーン。
「ウォータータンクゲーム」ではユーザーは14のミッションを与えられ、それに挑戦。
一つ一つをクリアすることによって、Levi'sの供給する水=寄付金額が増加します。
はじめのミッションは「Facebookでいいねを押す」など簡単なものですが、
次第に「現金を寄付」「友人を招待」など、難易度が高くなっていきます。
"ゲームをクリアしてレベルアップする"という仕組みは、
人の自尊心をくすぐるのではないでしょうか。
・寄付からはじまるオーケストラの大演奏街頭で演奏する、たったひとりのチェリスト。
ひとりの少女が募金をいれると、ひとり、またひとりと演奏者が加わり、
最終的には大演奏会となります。
とても素敵なサプライズだと思いますが、
自分の小さな募金が大きな幸福を呼び込む、という期待をはるかに超える演出は、
「特別な行為をしたあなたのおかげ」を強調して寄付側の自尊心をくすぐります。
////////////////////////////////////////
これらのことから、
自尊心をくすぐることで、
人の「褒められたり認められたりしたい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
<行為者にも利益となるようにひと工夫する>⑩ 社会にイイコト=自分にイイコトを発見する最後は、利他=利己を発見するその最たる例として、
「ペイフォワード」を例に挙げたいと思います。
・ペイフォワード
映画「ペイフォワード」をご覧の方はご存知かと思いますが、
ペイフォワードとは、「恩を返すのではなく、次へ渡す」という行為です。
日本語でいうと「恩送り」であり、前編の冒頭で取り上げた事例がまさにそうです。
受け取った恩をもらった人に返しているだけでは、
人とのつながりの輪は閉じてしまい、それ以上広がることはありません。
だから、そうではなくて、受けた恩を他の人に返していく。
そうすることで、結局はまた自分に、誰かの恩が贈られる。
また、自分の行為が他人に広がることは、ちょっとした自尊心をくすぐる効果もあります。
こうやって、ひょっとしたら素敵な正の循環が起こるかもしれません。
日本だと、あまり有名ではない(?)ですが、
「サンタのよめ」という取り組みは素敵です。

(紹介記事→
http://greenz.jp/2012/03/14/santanoyome/ )
画像は、「図書館の本に、素敵な言葉のメモを挟んで残す」という取り組み。
正直質はまちまちだと思いましたが、
「サンタのよめ」というコンセプトとか、楽しんでやっている活動風景とか、
なんかいいなーと思っちゃいました。
こういうの、もっと増えれば良いのに。
・先輩が後輩へおごる文化
もしペイフォワードを特別で珍しい取り組み、と思ったのであれば、
それはきっと気づいていないだけ。
誰しも一度は、「先輩のおごり」を体験したことがあるのではないでしょうか。
これ、やられるとむちゃくちゃかっこよくて。
でもお返しは、「自分の後輩にも同じことをやってあげる」ことだったりして。
とても素敵で、素晴らしい文化だと思います。
////////////////////////////////////////
これらのことから、
社会にイイコト=自分にイイコトを発見してもらうことで、
人の「自分にも他人にもイイコトはぜひやりたい!」煩悩を刺激して利他的な行動を促すことができるのかもしれません。////////////////////////////////////////
さて、随分と長くなってしまいましたが、
僕が考える
『利他的な行動を促すために、相手を「その気」にさせる10の方法』をご紹介させていただきました。
根拠のない帰納法的な方法論の構築ですので、
もっと色んな角度から方法論を考えてご紹介することも可能ですが...
ちょっとキリがないので、この先はご覧の皆様にお譲りいたします。
なかでも僕は、最後のペイフォワードがとても素晴らしいアイデアだと思っています。
僕らは派手な物語や極端に大きい問題を求め、
近くの日本の問題を差し置いてでも、海外の貧困といった問題へ関心を持ちます。
もちろん悪いことではないですし、
ココロが動いているのだから否定しようもありませんが...
自分という点と、遠い海外の誰かの点を結ぶ。
しかしこれには必ずモレが存在し、結べない点が孤立していくと思います。
そうではなくて、近くの点同士を確実に結んでいく。
それを拡大していき、そのネットワークを張り巡らす。
そしてその方法論を、別の国や地域に輸出していく。
この方法の方が、本当に問題を解決したいのであれば確実な気がします。
このブログでも再三強調している通り、
困難な状況に置かれている人がその状況から脱出するには、
外部からの刺激・支援がないと厳しいと思います。
確実に結んでいくデザインが必要で、
それはたとえば進んで他人に関わり優しくしようとする、
ペイフォワードのようなアイデアが必要なのではないでしょうか。
その実現方法は、
「ペイフォワード×②背後に潜む物語を具体的にみせていく=映画コンテンツ」
かもしれませんし、
「ペイフォワード×⑨自尊心をくすぐる="良い行動をリツイート"できるアプリ」
かもしれません。
良い言葉がリツイートされるなら、良い行動だってリツイートされていいはずです。
具体的な仕組みまで落とすアイデアを未だ見つけられていませんが、
これってうまく実現できないでしょうか??
この実現は、小さくて、ちょっと大きな僕の目標の一つです。
終わりに。実は存在する、3つめのデザイン。
これまで、人を動かすそもそもの方法論として
① お願いして、「その気」にさせる
② 気持ちをくすぐって、「その気」にさせるをご紹介してきました。
ですが、実はもうひとつあると思っていて。
それは、
③「生活環境をデザインする」という視点。
僕らの行動は、無意識に生活環境に大きな影響を受けています。
道路の端を歩くのは、真ん中に車道があるから。
隣の人の様子を気に掛けないのは、家同士が壁で隔てられているから。
でも、
車道が端なら歩道は真ん中に敷かれ、道のど真ん中を歩くことが普通になります。
家同士がスダレのようなもので仕切られていたら、隣の家の人の様子を気に掛けます。
無意識的に、僕らの行動は生活環境に影響を受けているのです。
だとしたら、
人に優しくしたくなるような生活環境はないのだろうか?
たとえば隣の家の人が困って悩んでいても、
スダレのようなもので仕切られていたら気にかけるかもしれない。
たとえば子どもの目線でドアスコープが設置されていれば、
子どもは親の代わりに率先してドアでお客さんの応対をするかもしれない。
たとえば家の近くに公園があるだけで子ども同士が集まって遊び、
友達が多くて運動が得意な、協調性のある子どもが増えるかもしれない。
あまりにも強力な、
しかしあまり注目の浴びていない観点・分野なのではないでしょうか。
「その気」にさせるデザインのほか、
僕がチャレンジしたい、もうひとつのビックテーマです。
次回、最終回になるかどうかは書いてみないとわかりませんが、
「生活環境をデザインする」という観点から利他行動を促進できるか、
考察を試みたいと思います。
thank you^^.