青山霊園は東京都のまんなかにある大きな墓地です。
赤坂、表参道、六本木に近い、都心の一等地、さぞかし墓を構えるのもお金がかかりそうです。
緑も多いので、真夏日でもそのあたりを通るとひんやり涼しく感じます。
当時、自分は赤坂に住んでおり、よく自転車で青山墓地を抜ける道路を通っていました。
実は墓地好きという隠れた趣味もあるのですが、青山墓地は家から近いしそのうち行けるだろうと思っていたら、結局あまり散策せずに赤坂から引っ越しをしてしまったのでした。
ここは昔からよく出るといわれています。青山墓地のまんなかでタクシーを拾う人がいるので乗せてみたら途中で消えていたという話を子どもの頃にきいた記憶があります。神出鬼没の霊もタクシーにのるんだ、とか、運賃はどうするんだろう、と子ども心に気になったりしてました。
そして自分が体験したのは、2010年か11年ころの夏でしょうか。当時ちょっとだけデートしていた彼氏と赤坂の家から表参道まで夜、歩いたことがありました。何をしにいったのかはよく覚えていません。彼とはよく散歩にいっていたので、その延長で、じゃちょっと表参道まで歩いてみる?、というノリだったかもしれません。その彼は特に霊感が強いという人でもなさそうですが、怖い系の話は割と好きなタイプだったと思います。自分自身もそんな話を彼としたことは記憶になく。その彼と夜、青山霊園を横切る道路(メインのほうではないほう)の歩道を歩いていました。進行方向に向かって左側の歩道を二人で歩いていました。すると彼は特にきっかけもなくす~っと道を渡って右側のほうに移動していきました。なんとなく、反対側を歩いてみたいのかなと、その時はそれほど気にも留めず、自分も一緒に道路の右側を渡りました。
右側の歩道に移動してしばらく歩いたあと、彼は突然、僕に「ねえ、向かいからきてた男の人見た?」ときいてきました。
「え、誰もみなかったよ。」
自分には何も見えてなかったのです。
「男の人、歩いてきてたでしょ?その人をよけようと思って反対側に渡ったんだよ」
ちょっとぞっとして振り返ってみましたが、もう誰もいませんでした。
「幽霊だったんじゃん?この辺よく出るというし」
内心ちょっとびっくりしましたが、自分は思わず軽く流してしまいました。
彼はもしかして見える人なのか、それとも自分がぼ~っとし過ぎているのか、彼がかついでいるのか(そんな流れでもなかったので、逆に相当違和感を感じたのですが)、まあ、結局よくわからなかったのですが、ちょっと不思議な体験でした。
後日談
結局、彼は一度女性と結婚していたことが判明、それ自体は別によいのですが、自分にはそのことを隠していて、人づてにそれを知ってしまったので、自分が「なんでそんな大事なことを隠していたの?」と腹を立てて、その後、彼とは会わなくなってしまいました。
生きてる人間のほうがよほどややこしい。