短編を書いてみる 短編を書いてみて添削もしてみた
昨日ブログで載せた小説ですが、読者の方が直した方がいいと言う部分を指摘して下さったので
添削しました。
本当に感謝です。
なので内容は昨日のものと全く一緒で、文章がスッキリしたverになっているかと思います。
それでは!
『カランカラン』
カランカランカラン。
放課後のボーリング場は夕刻前なので人がまばらだ。
そんな中、凛々しい足取りでレーンに向かう先輩を見つめている。
指先からつま先まで、肩にかかる髪からスカートの揺れまでしっかりと眼に焼き付ける。先輩がボールを投げる姿勢には無駄がない。それはどこか、ガラス細工を思わせるほど美しい。
投げたボールは、やはりというか、フォーム同様、キレイな曲線を描き転がっていく。その美しさに呼応するかのように、十本のピンは甲高い音を立てて倒れた。その音も旋律のように聴こえて心地良い。
「君の番だ」
先輩がストライクをとる一連の動作を脳内に再生させていると、その先輩から声がかかった。私がぼうっとしていたように見えたのか、眼を細め少し膨れっ面で見つめていた。
「す、ストライクですね。おめでとうございます」
目線が合ったせいで、頬が熱くなるのを感じ、顔を隠すためうつむきながらボールを取りにいく。
「君もストライク狙っていけよ!」
凛とした声が背中に伝わる。それと同時に温かい胸の高鳴りを感じた。
それは先輩のことが好きな証。
私は部活の先輩を好きになってしまった。
きっかけは先輩の何気ない質問。
「好きな人はいる?」
この時はすぐに首を振り、否定した。けれどその瞬間から先輩のことが気になって気になって仕方がない。
一七年生きてきて恋愛感情を持ったことはなかった。けれどドラマや漫画で知った「好き」という特別な感情が先輩に当てはまっている。パズルのピースのようにきっちりと。
「まだ投げないのか?」
再び先輩から声がかかる。
「あ、はい! 今から投げますっ」
慌てて一歩を踏み出し、ボールを真ん中のピンに目がけて投げる。しかし体の重心をずっしりとしたボールの重さに奪われ、投げるではなく置くようにしてボールは手を離れた。なので勢いはなく、のろのろとレーンを転がり、すぐ左にそれ、溝に落ちてしまった。
振り返ると、私の投球があまりにみっともなかったからか、先輩は小さく笑った。
「これぞ女子ってボールだな」
「バカにしてるんですか?」
「いや、そうじゃなくって羨ましいんだ。あたしって見た目が中性的だろ。で、言葉使いとかも男らしいから女として見てもらえないんだ。だから君みたいなかわいらしい女の子に憧れるんだよ」
憂いを含んだ表情で話す先輩は、私と眼が合うと、それを隠すように笑みを浮かべた。
だからこんなことを考えてしまう。
誰に女として見てもらえないのだろうか。
決まっている。同じクラブで先輩と同級生の彼と……そして私。
「次はがんばれよ」
投球を促す先輩。その声に儚さがほのかに香る。
あんなにダメダメな投球をしても、自分の気が滅入っていても応援してくれる先輩をやっぱり好きだ。でもこの思いはきっと、気色の悪いモノ。口にしてしまうと、淀んだ何かが一緒に出てしまい、私の姿は先輩に映ることがなくなってしまうと思う。
私の恋はそういうどろどろとした汚いヘドロ状な物なのだろう。なら、この汚いモノを心からどうやって取り除けばいい?
「どうやってがんばればいいんですか?」
「ん?」
思わずそんなことを口に出してしまった。先輩はいきなり質問をされたからか、柄にもなく間の抜けた声を出す。慌てて私はごまかす為に言葉を続けた。
「えっと私ボーリング初めてなので、どうやってストライクをとれば良いのかわからないんですよ」
「えっとだな」
先輩は腕を組み、うーんとうなる。
「いきなり技術云々を言っても身に付かないだろうし……。なら気持ちだ。君からはストライクをとってやろうって気持ちが感じられない」
「先輩はどういう気持ちでボールを投げているのですか?」
「殺してやる」
およそ思いもしなかった答えを聞き、私の二の腕にぶわぁっと鳥肌が立つ。
娯楽に殺意を持って挑む先輩は精神的に大丈夫なのだろうか? 少し不安になりつつも視線をレーンに移す。
約二〇メートル先にあるはずの十本のピンは、とても遠くに感じ、全てを倒すどころか、ピンまで勢いのあるボールを投げられる自信すらない。
ここでまた同じように、溝にはめてしまうと先輩は落胆するだろう。
なら、もし私ではなく、先輩が好きな彼ならどうか。きっと勢いのあるボールを投げ、アドバイスを生かすだろう。
それはなんだか死ぬほど悔しいし悲しい。
女として生きてきた私には勢いのあるボールを投げることは無理なのか? 女性が女性に対して恋愛感情を持つことは認められないことなのか?
その問いを否定するくらいの一般的常識を私は持っている。けれど破くほどの精神力は持っていない。
「がんばって殺してやるってくらいの勢いで投げてみろ」
背中に響く先輩の言葉を聞いて、揺らいでいた思いに一本に芯が入った。
私は更に後ろに下がり、キツく十本のピンを睨みつける。
死ぬほど悔しがるだけの自分なんて、いっそ殺してしまえばいい。
この投球でストライクを取れば、性転換手術をして男になって先輩に告白しよう!
そんなジンクスめいたことを胸に抱きながら、助走をつけて思い切り腕を振ってボールを投げた。
華麗さも可愛らしさもあったものじゃない。
けれど全力で投げたボールは、さっきと比べ物にならない速度でまっすぐレーンの真ん中に転がり、ピンを弾くようにして見事全てを倒してみせた。
「先輩、ストライク!」
「違う、スペアー!」
昨日ブログで載せた小説ですが、読者の方が直した方がいいと言う部分を指摘して下さったので
添削しました。
本当に感謝です。
なので内容は昨日のものと全く一緒で、文章がスッキリしたverになっているかと思います。
それでは!
『カランカラン』
カランカランカラン。
放課後のボーリング場は夕刻前なので人がまばらだ。
そんな中、凛々しい足取りでレーンに向かう先輩を見つめている。
指先からつま先まで、肩にかかる髪からスカートの揺れまでしっかりと眼に焼き付ける。先輩がボールを投げる姿勢には無駄がない。それはどこか、ガラス細工を思わせるほど美しい。
投げたボールは、やはりというか、フォーム同様、キレイな曲線を描き転がっていく。その美しさに呼応するかのように、十本のピンは甲高い音を立てて倒れた。その音も旋律のように聴こえて心地良い。
「君の番だ」
先輩がストライクをとる一連の動作を脳内に再生させていると、その先輩から声がかかった。私がぼうっとしていたように見えたのか、眼を細め少し膨れっ面で見つめていた。
「す、ストライクですね。おめでとうございます」
目線が合ったせいで、頬が熱くなるのを感じ、顔を隠すためうつむきながらボールを取りにいく。
「君もストライク狙っていけよ!」
凛とした声が背中に伝わる。それと同時に温かい胸の高鳴りを感じた。
それは先輩のことが好きな証。
私は部活の先輩を好きになってしまった。
きっかけは先輩の何気ない質問。
「好きな人はいる?」
この時はすぐに首を振り、否定した。けれどその瞬間から先輩のことが気になって気になって仕方がない。
一七年生きてきて恋愛感情を持ったことはなかった。けれどドラマや漫画で知った「好き」という特別な感情が先輩に当てはまっている。パズルのピースのようにきっちりと。
「まだ投げないのか?」
再び先輩から声がかかる。
「あ、はい! 今から投げますっ」
慌てて一歩を踏み出し、ボールを真ん中のピンに目がけて投げる。しかし体の重心をずっしりとしたボールの重さに奪われ、投げるではなく置くようにしてボールは手を離れた。なので勢いはなく、のろのろとレーンを転がり、すぐ左にそれ、溝に落ちてしまった。
振り返ると、私の投球があまりにみっともなかったからか、先輩は小さく笑った。
「これぞ女子ってボールだな」
「バカにしてるんですか?」
「いや、そうじゃなくって羨ましいんだ。あたしって見た目が中性的だろ。で、言葉使いとかも男らしいから女として見てもらえないんだ。だから君みたいなかわいらしい女の子に憧れるんだよ」
憂いを含んだ表情で話す先輩は、私と眼が合うと、それを隠すように笑みを浮かべた。
だからこんなことを考えてしまう。
誰に女として見てもらえないのだろうか。
決まっている。同じクラブで先輩と同級生の彼と……そして私。
「次はがんばれよ」
投球を促す先輩。その声に儚さがほのかに香る。
あんなにダメダメな投球をしても、自分の気が滅入っていても応援してくれる先輩をやっぱり好きだ。でもこの思いはきっと、気色の悪いモノ。口にしてしまうと、淀んだ何かが一緒に出てしまい、私の姿は先輩に映ることがなくなってしまうと思う。
私の恋はそういうどろどろとした汚いヘドロ状な物なのだろう。なら、この汚いモノを心からどうやって取り除けばいい?
「どうやってがんばればいいんですか?」
「ん?」
思わずそんなことを口に出してしまった。先輩はいきなり質問をされたからか、柄にもなく間の抜けた声を出す。慌てて私はごまかす為に言葉を続けた。
「えっと私ボーリング初めてなので、どうやってストライクをとれば良いのかわからないんですよ」
「えっとだな」
先輩は腕を組み、うーんとうなる。
「いきなり技術云々を言っても身に付かないだろうし……。なら気持ちだ。君からはストライクをとってやろうって気持ちが感じられない」
「先輩はどういう気持ちでボールを投げているのですか?」
「殺してやる」
およそ思いもしなかった答えを聞き、私の二の腕にぶわぁっと鳥肌が立つ。
娯楽に殺意を持って挑む先輩は精神的に大丈夫なのだろうか? 少し不安になりつつも視線をレーンに移す。
約二〇メートル先にあるはずの十本のピンは、とても遠くに感じ、全てを倒すどころか、ピンまで勢いのあるボールを投げられる自信すらない。
ここでまた同じように、溝にはめてしまうと先輩は落胆するだろう。
なら、もし私ではなく、先輩が好きな彼ならどうか。きっと勢いのあるボールを投げ、アドバイスを生かすだろう。
それはなんだか死ぬほど悔しいし悲しい。
女として生きてきた私には勢いのあるボールを投げることは無理なのか? 女性が女性に対して恋愛感情を持つことは認められないことなのか?
その問いを否定するくらいの一般的常識を私は持っている。けれど破くほどの精神力は持っていない。
「がんばって殺してやるってくらいの勢いで投げてみろ」
背中に響く先輩の言葉を聞いて、揺らいでいた思いに一本に芯が入った。
私は更に後ろに下がり、キツく十本のピンを睨みつける。
死ぬほど悔しがるだけの自分なんて、いっそ殺してしまえばいい。
この投球でストライクを取れば、性転換手術をして男になって先輩に告白しよう!
そんなジンクスめいたことを胸に抱きながら、助走をつけて思い切り腕を振ってボールを投げた。
華麗さも可愛らしさもあったものじゃない。
けれど全力で投げたボールは、さっきと比べ物にならない速度でまっすぐレーンの真ん中に転がり、ピンを弾くようにして見事全てを倒してみせた。
「先輩、ストライク!」
「違う、スペアー!」
