名古屋場所も初日。いつも通りといえば潔いがまたまた上位がひどい。幕内前半からどこか淡白な相撲が目立ち良い流れではなかった。結局関脇以上では照ノ富士と霧島が勝利のみとなる。
初日から曲者が多いと予想したが、大関とは名ばかりを改めて実感。貴景勝に勝った明生を「大関から勝利」と実況が強調していたがむなしい。
大の里は今場所が今後のカギを握ると見たが、惨敗。大の里の相撲は、当たって当たりがいいとみると一気に突いて出る、踏み込み、角度が今一つとみると引くの2通り。武蔵丸の指摘通り基本に忠実である。引きでもうまく体を捌くだけ目立たないが、かなり豪快な引きもある。ここのところの御嶽海は前半は好調で全盛時の出足を見せるだけ油断できないものだったが、甘くみていたか。引いてあっさり敗北は優勝力士の次場所初日としては寂しい。
豊昇龍は大型力士には体力面で厳しく、さらに下手投げを封じられるとどうにもならない。琴桜は腰高でもろに受けた。正直大栄翔のほうが安定感は上。熱海富士も一旦の不調から戻してきたか。
照ノ富士・平戸海。平戸海は善戦したが照ノ富士は腰が据わり一貫した横綱相撲だった。この相撲を取る力士が大関以下には皆無なだけ先行きが暗い。初日の体たらくを見ると照ノ富士はまだまだ辞められないとみてしまう。
関脇陥落の霧島が上位7力士で2人目の勝者。立ってからのバタバタは相変わらずだが、高安もどこか動きがもたつき幸いした。前まわしを引いてからの動きは久しぶりのものであった。少し前の高安・霧島の立ち位置から見れば当然といえるが、霧島はどこまで落ちるのかというほど弱っていただけに。高安は胸筋を痛め休場。
とはいえ一番印象に残るのは北の富士のビデオメッセージだろう。瘦せ、声も弱弱しいが想像以上に元気であった。確かに衰えた姿はみられ長時間の解説は厳しそうだ。美学に反するだけ出演を控えるという話も理解できる。しかしもはや寝たきりといったことも考えていただけ、喋ることができ、体に不自由がない状況というのは、このところの不安を打ち消すものであった。
82歳という年齢からいえばやむを得ない。大病からここまで復活というだけ体力は並ではない。出演は難しくとも穏やかに過ごしてほしい。