照ノ富士も武蔵丸に引き際を考えろと公然と引導を渡される状況。横綱が土俵に這うことは少ないが、ここのところの照ノ富士はそのような相撲が多い。本人の意思か協会側の興行政策か定かではないが、引き際を見失っているのではないか。

 

しかし次の横綱候補が思い当たらないのが一番の難点だ。強いてあげるならば琴櫻、大の里。他の大関・三役は現状が精いっぱいと見られ挙げにくい。特に大の里は毎場所成長がみられ、欠点が減っていくように思われる。大鵬も北の湖も上昇期には寝て起きて又強くなっていると証されたが、まさにそんな状況ではないか。

 

 

大の里は泥酔云々の問題が報じられたが、かつての横綱大関もその手の話に無縁ではなく、北の湖は大関時代にホステスを口説いたなどと醜聞が出たこともあった。ちなみに本人は一笑に付して終わり。

 

照ノ富士の次を託せる力士が不在。横綱が誕生した時、次の横綱となる力士がどの地位にいたのか。ここで調べた。

 

40・東富士 27歳       千代の山・関脇
41・千代の山25歳     鏡里 大関
42・鏡里30歳           吉葉山 大関
43・吉葉山34歳        栃錦 大関
44・栃錦29歳           若乃花 関脇
45・若乃花30歳        朝潮 大関
46・朝潮29歳           柏戸 前頭4 大鵬 十両20
47・柏戸22歳             ( 大鵬)
48・大鵬21歳          栃ノ海 関脇
49・栃ノ海26歳          佐田の山 大関
50 ・佐田の山27歳   玉乃島 前頭3 北の富士 関脇
51・玉の海26歳      (北の富士 横綱)
52・北の富士28歳   琴櫻 大関
53・琴櫻32歳     輪島 大関
54・輪島25歳    北の湖 前頭4
55・北の湖21歳   若三杉  前頭3
56・若乃花25歳   三重ノ海 大関
57・三重ノ海31歳  千代の富士 前頭10
58・千代の富士26歳 隆の里  小結
59・隆の里31歳   北尾   幕下18
60・双羽黒23歳   北勝海  大関
61・北勝海24歳   大乃国  大関
62・大乃国25歳   旭富士  大関
63・旭富士30歳   曙   前頭14
64・曙23歳     貴乃花  大関
65・貴乃花22歳   若乃花  大関
66・若乃花27歳   武蔵丸  大関
67・武蔵丸28歳   朝青龍  三段目75
68・朝青龍22歳   白鵬   幕下54
69・白鵬22歳    安馬   関脇
70・日馬富士28歳  鶴竜   大関
71・鶴竜28歳    稀勢の里 大関
72・稀勢の里30歳  照ノ富士 大関(その後陥落)
73・照ノ富士29歳    ?  

概ね大関や三役から昇進している。当然代々の所要場所数も異なり、2場所もあれば5年もある。この中で番付がダントツ低いのが朝青龍で三段目中位。この時武蔵丸と東西に並ぶと予想した好角家は流石にいなかったか。ただし当時の雑誌では入門時よりモンゴルの期待の星と2ページも割いて紹介され、この頃よりモノの違う逸材とされていたようだ。この点早くより有望視され、そのまま壁に当たらず最高位を極めたという事となる。

 

他に幕下なのが北尾と白鵬。北尾の快進撃も目立つが、実はこの時点で幕下昇進から約4年、17場所目であった。末は横綱、入門時の目標も横綱の評判通り、17歳で幕下昇進とはいえある意味幕下の壁に当たっている。幕下は相撲界で一番大きい壁ともいわれるが、この頃の北尾はけがや脱走もたびたびあったようだ。このあたりのちの廃業劇を予感させるもの。

 

この2場所後に十両昇進、そこからが早く入幕2場所目には横綱北の湖から初顔で金星、以後三役から平幕上位に定着し入幕8場所で大関昇進。

 

千代の富士の10枚目というのも目立つ。この時肩の脱臼による十両陥落から幕内復帰という所だった。まだ平幕で強引な投げを売りにする若手力士というポジション。翌年春に三重ノ海を前ミツを引く相撲で破って連勝を24で止めてから開眼し、三役~大関~横綱と駆け上がる。

 

当時の大関が上がっているパターンも多いが、ある時突然変異のようにスピード出世の力士が出る。それも一定の間隔であることが多い。大鵬・千代の富士・北尾・朝青龍・白鵬がそれであろう。

 

ちなみに照ノ富士昇進時、琴櫻は前頭3、大の里や尊富士はまだ入門前。先代の横綱昇進時に力士ではない例は明治期を見ても未だない。関脇~大関が4人続きある意味想定通りの昇進であった。そろそろ突然変異型の横綱が現れる頃。どうなるか。