春場所がようやく終わり。ドラマチックな展開であった。尊富士がケガの中敢然と出場、豪ノ山に寄り切りから押し倒して勝利し見事優勝。これによって110年ぶりの新入幕優勝、優勝制度以降初の新十両→新入幕の連続優勝、通算最少敗数(10)での優勝、初土俵から11場所の優勝といった記録が更新された。

 

 

大の里は尊富士が勝ち優勝はない中での豊昇龍戦。大の里には珍しく粘りを見せたが、最後無造作に組み止めて出るところ、豊昇龍捨て身の下手投げ。若干反り技にも見えたが見事に横転した。まだまだ技術より体力勝ち。何といってもわきが甘く、廻しをとっての寄りもなかった。巨体を浴びせるだけで勝つというポテンシャルが技能の向上を妨げているのだろう。二所ノ関の指導にかかる。

 

 

三賞は尊富士と大の里のみ。尊富士はトリプル受賞で、平12九州の琴光喜以来、新入幕としては昭和48秋の大錦以来となった。今場所は大関陣が追ったとはいえ尊富士と大の里だけの場所ということがわかる。

 

尊富士は来場所は休場の可能性も高い。ここは大事を取った方がいい。伯桜鵬パターンだが靱帯のケガでそれほど深刻ではなさそうだ。

 

大の里は総髪を振り乱しての2場所連続の活躍だった。新入幕から連続11勝以上は昭和30の若ノ海、平16の白鵬に続き3人目。

 

大関陣は影が薄かった。

 

豊昇龍   一番良かったとはいえ強引さも目立った。ぶん投げないと気が済まないか
琴ノ若   地味ながら白星を重ねたが終盤崩れる。霧島戦は色々と残念だ
貴景勝   場所前の不調の割には順調とはいえ琴ノ若戦は怪しい一番・首のケガはもう治るものではない
霧島   終始上位を盛り下げる内容のなさ。廻しを引かないあたり腕のケガか。琴ノ若戦での奮闘は部屋の閉鎖もある?

 

霧島はもともと相手の出足を利用する相撲が多いだけに今後もいい流れが浮かばない。貴景勝も茨の土俵だが、ある意味ビジネス大関に徹している。つまり勝ち越しがまず目標、不調であれば休場、優勝がなければ力を抜くというのが5年も続いている秘訣ではないか。

 

闇雲に出場すればいいのではない。貴景勝の相撲哲学と言える。琴ノ若戦は正直力士間の人間関係を見せられたような勝負。

 

 

次点は11勝で大の里、豊昇龍に高安となった。高安はノーマークだが4敗の相手を見ると正代、御嶽海、豪ノ山、阿炎。元大関2人は今場所も一進一退だが腐っても元大関なのか。三役以上の対戦は阿炎のみで相手にも恵まれた。本来このような場所はチャンスだが大尊が好調すぎて何の話題にもならない。 これで優勝次点が9度目、豊山に並んだ。高安は決定戦を経験しているだけ上か。

 

 

新入幕優勝は快挙だが、裏を返すと上位陣はじめとした幕内力士は何をやっているのかという責任論にもなる。13日目は大関同士の取組が結び2番前に組まれ、大関VS平幕が結び前、結びという事例もあった。もはや番付など崩壊している。大の里尊富士を関脇とする方が余程実情に合うと愚考する。番付社会があらゆる面で合わなくなっている。

 

 

十両は水戸龍の優勝。万年十両の存在だけに意外。水戸龍に限らず十両は滞留する力士が増えた。例えば大奄美はこの4年程前頭下位と十両上位の往復。今場所6回目の入幕だが負け越し。お馴染みの志摩ノ海も1年程負け越しが殆どながら、主に10枚目前後に在位。

琴恵光は1勝14敗と劣敗。最近1勝はなかった。衰えが急激に来たようだ。

 

 

木村庄之助が千秋楽結びで差し違えた。琴ノ若の体はなく見方がまずいのかポカなのか。最後まで混乱の土俵であった。

 

 

宮城野部屋は二転三転の末に伊勢ヶ濱に合流とか。この先どうなるのだろうか。