能登半島の地震。発生から1週間がたつが未だに孤立が続き、死者202名に対し行方不明者が102名という状況。3300人以上が孤立など能登半島が陸の孤島と化している。珠洲市や輪島市では未だ把握できない集落も多くさらに増える可能性が高い。

 

 

避難所の衛生状態も悪化しノロウイルスやコロナウイルスなどの感染も増加。避難所の移動も開始したが大雪で中止となるなど二次的な問題も出始める。低体温症なども積雪地域の冬季の大地震という以前より懸念されていた事である。にもかかわらず岸田首相はじめとして他人事のような姿勢が目立つ。8日に重い腰を上げ激甚災害指定を表明とは。

 

 

6日には馳石川県知事が非常事態宣言を発令。「能登を救うため職員全員で対応する」ということだが発災5日での発令だった。当然批判が大きいが、この1週間、被害の大きさにもかかわらず行政からの切迫感があまり感じられなかった。非常事態宣言は災害対策会議での外部識者からの提案によるものといいやはり見通しが甘かった。



また自衛隊派遣を巡ってもその規模が批判されている。自衛隊は、発生翌日の2日までに2000人態勢で、人員・物資の輸送や救助活動を実施。3日は4600人態勢で、重機での陸路の修復や給水・給食など生活支援にも活動を広げ、8日に6100人規模とした。しかし2016年の熊本地震では、翌日に自衛隊員1700人、2日後に1万5000人、5日後に2万2000人と派遣規模を引き上げ、日本の災害対応として初の、要請を待たずに物資を緊急輸送する「プッシュ型」を実現した。当初より他の震災と比べてその規模の小ささに疑問があったが適切だったのか。

 

逐次投入となった理由として陸の孤島と言われている半島での震災という地理的な事情、大規模な自衛隊の拠点が県内にないことが大きいという。道路や受け入れ態勢を見て引き上げた。しかし初期より海路や空路からの投入なども含めていれば現状は少しは変化したのではないか。石川県を管轄する中部方面隊は南海トラフ時には中核の部隊となるようだが不安しかない。

 

聞くところによると金沢市は平常に近い地域も多いという。人員が明らかに不足しているがボランティアの受け入れも未だまともにされていない。盗難や詐欺への警戒もあるようだが果たして良いのだろうか。

 

さらに情報も二転三転するなど輪島市、珠洲市などは行政機能が破綻している。自治体丸投げではなく国が主導して行政をサポートする必要があるだろう。自主的な避難所の数も正確に把握していないなど現地での行政職員が明らかに不足している。おそらく人口規模や津波被害が当初の予想よりは低かったのもあり小規模と見ていたか。このあたり官邸の初動が遅かった。ニーズの把握や物資運搬が重要と2日後に指示したが、正月という特殊な事情でも、台湾の救助隊をニーズがないと拒否したのは失敗だった。

 

 

ビニールハウスでの避難生活、避難所で凍死の危険を見ると、日本は開発途上国なのか。東北の震災より13年となるが先進どころか後退しているようだ。この分では近い将来確実に来る南海トラフ地震に対応できるか暗い。昭和19年に起こった昭和東南海地震は初め遠州沖大地震と呼ばれたが、戦時中で軍需工場の打撃を受けたことを隠匿するため変更したと言われる。今回の岸田内閣初め官邸も、戦中らしく情報を隠す後ろ向きの姿勢を感じる。得意の注視するを実践しているのか。