最年長の松鳳山が引退。この時期になったのは名跡をめぐって諸々あったかもしれない。結局協会には残らずかつての「廃業」という扱いになる見込み。

 

名跡不足の一因は再雇用制度だろう。65歳で定年でも70歳まで参与として在籍可能。なんの審査も条件もなし。これにより再雇用と名を変えても事実上の在籍期間が延びたことになる。一方現役力士の寿命はそう簡単には伸びず40歳がぎりぎりだろう。

再雇用制度は2014年11月に創設された。以来18人中14人がこの制度を行使し、うち3人は満了前に退職、4人は行使せず定年と同時に去った。(麒麟児は70歳までに死去)現在在籍は6人である。

 

松鳳山も師匠の荒磯(若嶋津)が1月に一旦退職になったが再雇用で残り5年在籍となった。かつて脳疾患で倒れ現在も体の自由が利かないとみられる。

 

やはり考えるのはその状態で何ができるのかということ。雑誌相撲の湊川(大徹)の対談では地方場所には出張しないらしい。つまり年3場所しか業務がない。主なものは礼儀作法教育係として力士の身だしなみのチェックなど。かつて審判部の起用もあったが決まり手等に造詣の深い大山親方のような人物を例外に、各部署にはほとんど携わらない。省庁でいう意思決定のライン上から外れたスタッフ職と似た扱い。

 

昭和期も病気療養などで長く参与に留め置かれてる年寄がいた。昭和33年創設の参与制は当初理事など幹部を処遇するポストだったが有名無実化し、病気により業務不能となった年寄の待機ポスト化してしまった。(平成8年音羽山(若ノ海)の退職でゼロに)

 

逆の見方をすれば長老として在籍しているだけで重石のような存在なのかもしれない。元大関の重鎮が指導、声をかけるだけでも励みになる力士はいるだろう。しかしその場合名跡は返上し評議員のように本名か現役名で残るべきではないか。

 

平成初期の力士も引退年齢が迫りこの数年で幕内力士もかなり引退が出るだろう。名跡を名乗り続けることが足かせになっている。このままでは廃業のケースが増える一方だ。ただ高みの見物ではなく対策してほしい。