拍手と手拍子の起源と歴史 | Baby you a song

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…and cruise !

 コンサートに付き物の拍手や手拍子..""ハ(゚∇゚*)
果たして観客は、いつから拍手や手拍子をするようになったのか?
ちょっと気になったので、調べてみました。

拍手の歴史は?

 まずは拍手(はくしゅ)の歴史・・・。
 これはどうも古代ギリシアまで遡るようです。
 古代ギリシアの文書(パピルス)には「音楽、演劇、舞踊等を見て手を叩いた」とか「(古代)オリンピックで拍手喝采が送られた」などという文言が記されているそうです。
 つまり少なくとも紀元前5世紀頃の人間が「拍手」をしていたことは伺い知ることが出来るでしょう。

 

ギリシアに遡る
まったく読めませんが・・・(笑)

 ただ面白いのは、明治以前の日本には「拍手と言う習慣が無かった」と言われていることです。
(例えば歌舞伎などの芸能に、歓声こそあれ、拍手はしなかったといいます)
 賞賛や感激を伝える意味での「拍手」は、明治の文明開化と共に広まったのでありましょうか?

明治時代の文明開化から?
『坊っちゃん』/夏目漱石

 夏目漱石の『坊っちゃん』(1906年(明治39年))には「教場へ出ると生徒は拍手をもって迎へた」という記述があり、この頃(明治後半)には拍手が広く大衆に浸透していたことが分かります。

 

 しかし『能楽史事件簿』(岩波書店)という文献には、法政大学名誉教授表章氏の以下の言葉があるのです。
「能の褒め役というのは、室町時代初期からあったのです。(中略)しかるべき場所で手を叩いたり褒めたりする、そういう役目が昔から制度としてあったのです。」

 

江戸以前にも拍手はあった!
『能楽史事件簿』/横浜能楽堂編


 これは室町時代(1336年~1573年)初期から、能楽者に拍手を送る「サクラ」が存在していたということですが、この「制度としての拍手」は秀吉の時代まであったといいます。

 

 そういや朝鮮半島や中国には、職業サクラとしての「泣き屋」が存在しますよねえ。あの習俗は日本でも古代から幅広い地域でみられたそうです。

 また朝鮮の高麗王朝(918年~1392年)のことを記した官史『高麗史』の以下の文章は見逃せません。

「凡そ宴に赴く者は、拍手して、以て我が樂を助けよ」(『高麗史』世家巻第24)

 

高麗史

「宴会に出る者は、拍手をして王を楽しませろ」みたいなことが書いてある『高麗史』。

(日本史では、平安・鎌倉・室町にまたがる時代)

 

哭喪女(泣き女)の習俗は、古代から日本全土でもみられたそうです。

(現在のギャラは3000円程だとか・・(笑))

 

 大陸からの文化の影響が色濃かった古代・中世の日本に「拍手という習慣だけが無かった」とするのは、いささか不自然に思えてきますよね。
 

 そう考えると、江戸時代は何かのきっかけで拍手が禁止されたとか??
 ここら辺、ちょっと謎・・・。


 では、手拍子という習慣は?

 手拍子(てびょうし)の歴史はさらに遡り、古代エジプトでは手拍子の伴奏で歌ったり踊ったりする習慣があったとされています。(古代エジプト遺跡に記されたレリーフやヒエログリフ(文字)より)
 そうすると手拍子の歴史は、紀元前3000年という遥か古代となりましょうか。

エジプトの壁画
新王国時代ネブアメンの墓の壁画(笛に合わせて、踊りと手拍子?)

 日本ではどうか!?

 単純に「手を打つ」という仕草は、神社で行われる「拍手(かしわで)」や、三本締めなどの「手締め」、民謡で歌の調子に合わせて入れる「合いの手」なんかがありますよね。
 これらはもちろん、近世・近代以前。

拍手

 「拍手(かしわで)」に関しては、神社参拝を含めた広い範囲での朝儀で行っていたとか、食事の前に手を打つ「礼手の作法」といものも古くから存在したそうです。

 かの『魏志倭人伝』(280~297年)には「ただ手を打って跪拝のかわりにする」という記述を見つけることもできます。

 

民謡

 手拍子に一番近そうな民謡の「合いの手」ですが、こちらのほうも実は神事に大変深い関係があるようです。

 そもそも日本の民謡は、娯楽の歌として発生したものではなく、巫子の祝詞の節が発祥だったらしいですね。

 つまり「よいよい」とか「こりゃこりゃ」とか、歌や踊りの調子に合わせて入れる手拍子や囃子詞(はやしことば)なんかは、演者に対する賞賛ではなく、神への感謝という意味合いが強かったのではないでしょうか。

 しかし以上の考察は、あくまで残された文献によって伺い知りうる範囲内のもの・・・。
 例えば野生のゴリラやチンパンジーも、興奮状態の時に手を打つ仕草をするようですし、古代の日本人だって、何か感激することがあった時、手を叩いたり、足を踏み鳴らしたと考えるのが自然ではないでしょうか?

ゴリラも拍手
拍手(?)をするゴリラの赤ちゃん

 縄文時代(紀元前14000年頃~前4世紀)には、既に和太鼓の原型が存在していたという説もあります。

(土器のカタチから、「これは太鼓に使われていたのではないか?」という、ちょっと不確実な説ですが…)
 でも、もし太鼓があったとしたら、ドンドコドンドコを、縄文の人々が黙って聴いていたとは思えないような..( ,`・ ω´・) ?

 

縄文太鼓

縄文太鼓(復元されたもの)

 

 歴史にこそ残されてはいませんが、世界四大文明(紀元前4000年頃~)が起こる以前から、日本人がワイワイ拍手や手拍子をしていたと考えるほうが楽しいですけどね~(o^-^o)