テイラー・スウィフト/全アルバム一気レビュー | Baby you a song

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You make me wanna roll my windows down,
…and cruise !

 テイラー・スウィフトのヒット曲や人気曲、また過去の来日データ等を交えながら、彼女が今までリリースした全てのアルバムを一気にレビューしてみます♪

 

各アルバム「おすすめ度」の基準
☆☆☆☆☆(ゴミ箱直行)
★☆☆☆☆(聴いて損した)
★★☆☆☆(まあイイネ)
★★★☆☆(おすすめです)
★★★★☆(素晴らしい作品)
★★★★★(後世に残る名盤!)

 

※ 各アルバムでシングルになった曲のビルボードランキング(Billboard Hot 100)も記載します。彼女の代表曲の参考にしてください。

 

『テイラー・スウィフト』/テイラー・スウィフト


TAYLOR SWIFT/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★★☆

 

(シングル)
『ティム・マックグロウ』/40位
『ティアドロップス・オン・マイ・ギター』/13位
『アワ・ソング』/16位
『ピクチャー・トゥ・バーン』/28位
『シュドゥヴ・セッド・ノー』/33位

 

 テイラー・スウィフトが16歳の時にリリースしたファーストアルバム。切なくキュートなボーカルと、アコギ、スライドギター、フィドル等、生音を重視したエモーショナルなバッキングが心に響きます。
 「天才少女現る!」と全米がビックラこいたらしいですが、この頃日本盤はまだ発売されておらず、一部のカントリーミュージックファンでのみ語られていたアルバムかと・・・。(米では2006年10月のリリース。日本盤の発売は2ndアルバムより遅い約4年後の2010年6月のリリース)
 ちなみに個人的には彼女の数多い楽曲の中でも『ティアドロップス・オン・マイ・ギター』が一番好きです♪ 「ギターと涙」がモチーフなんて、ビートルズの『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』みたいで、若きテイラー・スウィフトのアーティストとしての心意気を感じさせるじゃないですか。
 聴いたことない人は、ぜひこの曲だけでも! ・・・泣けます。

 


『フィアレス』/テイラー・スウィフト


FEARLESS/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★★☆


(シングル)
『ラヴ・ストーリー』/4位
『ホワイト・ホース』/13位
『ユー・ビロング・ウィズ・ミー』/2位
『フィフティーン』/23位
『フィアレス』/9位


 ちょっとポップ路線になった等と評価されがちなセカンドですが、なんのなんの、このアルバムは大傑作! 「恐れるものはない」と歌う1曲目の『フィアレス』から、「革命を起こせ」と訴えるラストナンバーの『チェンジ』まで、「曲調はポップ、ハートはロック」といった、ポジティブで力強い意志を感じる一枚です。
 ジャケットアートも「逆風に立ち向かう」という意味なのか、特に意味はないのか・・・(笑)。
This revolution, the time will come
革命、その時はやって来る
For us to finally win
最後に勝つのは、私たちだ
And we’ll sing hallelujah, we’ll sing hallelujah
そしてハレルヤを歌おう ハレルヤを歌うんだ
(『チェンジ』)
 北京オリンピックのイメージソングとしても採用されたこのナンバーですが、スリリングなイントロ、ハレルヤの扇動的なリフレイン、トニックで完結しない奥深いエンディング等、いや~、カッチョいい!

 またアルバム発表後、彼女は北米を中心とした初めての大規模ツアーを行いますが、2010年2月17日には初来日を果たしています(ZEPP TOKYO)。

 


『スピーク・ナウ』/テイラー・スウィフト

SPEAK NOW/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★☆☆

 

(シングル)
『マイン』/3位
『バック・トゥ・ディセンバー』/6位
『ミーン』/11位
『ザ・ストーリー・オブ・アス』/41位
『スパークス・フライ』/17位
『アワーズ』/13位


 「私がテイラー・スウィフトよ。オッホッホ」という感じのカラフルでアイドルチックなジャケットアート。
 エレキギターをバッキングの中心としたバンド・アレンジの曲が多く、そのまま「せーの」でライブが出来そうな内容ですが、まさにその通り。このアルバムと連動してテイラー・スウィフトはヨーロッパやアジアを含めた大規模なワールドツアーを行っています。
 その時のゲストも実に華やかで、ジャスティン・ビーバー、ニッキー・ミナージュ、セレーナ・ゴメス等、まさに今を時めく顔ぶれとの共演! (日本では2011年2月13日・大阪城ホール、5月5日・6日・日本武道館で公演)
 ただアルバム全体を通して聴くと、すべての音に厚みが出た分、ちょっと単調に感じてしまう一枚といいますか・・・。逆にとっつきやすく、良く晴れた日曜日に車で聴きたくなるようなアルバムですね。

 

 

『レッド』/テイラー・スウィフト


RED/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★★★


(シングル)
『私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない』/1位
『ビギン・アゲイン』/7位
『トラブル』/2位
『22』/20位
『レッド』/6位
『エヴリシング・ハズ・チェンジド』/32位
『ザ・ラスト・タイム』/3位


 テイラー・スウィフト全てのアルバムの中で、一番好きな一枚です。
 ジャケットもアーティスティックなものとなり、それぞれの感情を様々な色に例えたタイトル曲『レッド』が象徴するように、アルバム全体もカラフルな楽曲より成り立っていて、「色」をテーマとしたコンセプトアルバムのようにも感じます。
 フロタムのリズムキープがクールな『ステイト・オブ・グレイス』のオープニング、初めてビルボードランキング1位に輝いた『私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない』、キュートでキャッチーな『22』などなど、
軽快なポップナンバーとセツナ系バラードが調和した、1stから3rdまでのイイトコ取りといった印象です。
 多分このアルバム発表前後から、日本でも幅広い層にテイラー・スウィフトが知られるようになったのではないでしょうか。アルバムと連動した「The RED Tour」の日本公演(2014年6月1日、さいたまスーパーアリーナ)チケットは、即日完売しています。

 


『1989』/テイラー・スウィフト


1989/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★★☆


(シングル)
『シェイク・イット・オフ~気にしてなんかいられないっ!!』/1位
『ブランク・スペース』/1位
『スタイル』/6位
『バッド・ブラッド』/1位
『ワイルデスト・ドリームス』/5位
『アウト・オブ・ザ・ウッズ』/18位
『ニュー・ロマンティックス』/46位

 

 アルバムタイトルの『1989』とはテイラー・スウィフトが生まれた年(1989年)。
 歌詞だけを見ると、ほとんどが彼女の恋愛遍歴、元カレの悪口などで構成されていて、まさにテイラー・スウィフトの私的なバイオグラフィーが綴られているような一枚です。既にアメリカンセレブみたいになっちゃったテイラーですが、それすらモチーフにしちゃうところが彼女のしたたかさでしょう。
 また、このアルバム発表後も、彼女は大規模なワールドツアーを行うのですが、そのゲストがまた凄い!
 アラニス・モリセット、アヴリル・ラヴィーンといった先輩女性アーティストから、ミック・ジャガー、スティーヴン・タイラーといったロック界の大物まで・・・(!)。

 ストーンズのライブに呼ばれて「キャーうれしい」じゃなく、「ちょっとミック、ゲストで歌う~?」って感じかしら~ ( ̄ー ̄) (来日公演は2015年5月5日・6日の東京ドーム2days)
 「これ聴かなきゃ、遅れってるぅ」みたいな、妙なカリスマ感もたまりません(笑)。

 

 

『レピュテーション』/テイラー・スウィフト


REPUTATION/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★☆☆


(シングル)
『ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥ~私にこんなマネ、させるなんて』/1位
『…レディ・フォー・イット?』/4位
『エンド・ゲーム』/18位
『ゴージャス』/13位
『デリケート』/12位


 テイラー・スウィフト「毒キノコでも食ったんじゃないか!?」って感じの大胆なエレクトロサウンドを取り入れた6枚目。デビューから10年後、27歳の時の作品です。
 まあエレクトロといっても、EDMというよりコンテンポラリー寄りのアプローチですね。つまり都会的で、おしゃれ?
 音に幅やメリハリが出来て、ライヴでは確実に盛り上がりそうな楽曲で占められていますが、メロディーよりリズムが重視という面では、テイラー・スウィフトが現代のフツーのR&Bシンガーになった印象でしょうか・・・。
 彼女くらいのアーティストになれば、有名なギタリストとか、各楽器のスペシャリストを集めて素晴らしいアルバムが作れちゃいそうなんですが、逆に電子音楽という、いわばデスクトップワークに走っちゃたのは、ちょっと勿体ない気がします。

(来日公演は2018年11月20日・21日の東京ドーム2days)

 

 

『ラヴァー』/テイラー・スウィフト

LOVER/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★★☆

 

(シングル)
『ミー!』/2位
『ユー・二ード・トゥ・カーム・ダウン』/2位

『ラヴァー』/10位  
『ザ・マン』/23位 

 

 タイトルやジャケットが象徴している通り、全編がLOVEに包まれたようなテイラー・スウィフトの7枚目。
彼女の可愛さ、優しさ、そしてポジティブな姿勢がギュッと詰まったような魅力的なアルバムです。
 前作『レピュテーション』では、妙なダークさが目立ちましたが、それをサラリと振っ切ったような明るくハッピーなポップ路線。

 まあ電子音を多用していることは同じなんですけど、前作がリズムでグイグイ押してくる感じなのに対し、この作品はメロディーをしっかり聴かせてくれる印象ですね。
 大傑作であることは間違いないのですが、★が一つ足りないのは、アコースティック曲が少ないという非常に個人的な想いということでご勘弁を!
 プロモーションのため2019年11月20日に来日したテイラーですが、ワールドツアーや来日公演の情報については随時追加していきます♪

 

 

『フォークロア』/テイラー・スウィフト

フォークロア/FOLKLORE

forklore/TAYLOR SWIFT
おすすめ度/★★★★★

(シングル)
『カーディガン』/1位
『エグザイル』/6位

『ベティ』/42位
『ザ・ワン』/4位


 COVID-19パンデミック下で、急遽リリースされたテイラー通算8枚目。ロックダウン中に作詞・作曲をし、全編リモートを利用して録音されたそうです。
 実は彼女は4月より前作『ラヴァー』と連動したツアー「Lover Fest」を開始する予定だったのですが、COVID-19の感染拡大で全ての日程がキャンセル。この状況下アーティストとして「何か出来ないか」という強い想いが、今回のサプライズリリースへとつながったのだと思います。
 さて内容は、全般的に叙情的、静かで淡々・・・、サウンドはピアノとギターを中心とした驚くべきシンプルさ・・・、インディーアルバムと呼んでもいいような手ざわりです。

 派手なテイラーに期待しているファンには肩透かしでしょうが、ギミックを排除し、純粋にソングライティングの巧みさに触れられる内容、世界がCOVID-19で苦しんでる中「ファンに音楽を贈りたい」という彼女の心意気は、もう最大評価としちゃいましょう!
 尚、このアルバムはリリース後の24時間で130万枚を売上げたほか、Spotifyでの初日ストリーム数は実に8,060万回となり、女性アーティストとしてギネス世界記録を獲得しています。

 

 

『エヴァーモア』/テイラー・スウィフト

evermore/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★★☆

 

(シングル)

『ウィロー』/1位

『ノー・バディ、ノー・クライム』/34位

『コニー・アイランド』/63位

 

 前作「forklore」から5か月経たずにリリースされたテイラー・スウィフト通算8枚目。

抒情的・物語的な歌詞と言い、シンプルなアレンジ手法と言い、「forklore」の姉妹アルバムというべき作品ですね。
 祖母をテーマにした「Marjorie」、友人セレーナ・ゴメスのことを歌ったような「Dorothea」等、全体を通して彼女の暖かな人間性を感じられるのもファンには嬉しい内容ではないでしょうか。
 ただ、心が弾むようなリズム、思わず踊りたくなるようなポップさは、前作同様影を潜めているので、ファン以外にはおそろしく退屈に感じるアルバムかもしれません。
「forklore」「evermore」を合わせ、タイトルを『テイラー・スウィフトの世界』(笑)にして、二枚組にしてくれれば大傑作なのになぁ~と思っちゃうのですが・・・。

 forkloreの森を抜け出して、今度は彼女はどこへ向かうのか?
 次作にさらなる期待を込めて、この評価としてみました。

 

 

『ミッドナイツ』/テイラー・スウィフト


Midnights/TAYLOR SWIFT

おすすめ度/★★★☆☆


(シングル)
『アンチ・ヒーロー』/1位

『ラヴェンダー・ヘイズ』/2位
『カルマ』/2位

 

 リリース直後の1週間で全米100万枚以上を売り上げ、バーブラ・ストライサンド(2022年現在、御年80歳!)と並ぶ、女性アーティストNo.1セールスを記録したアルバムです。
 テイラー・スウィフト32歳での作品(10作品目)。人気衰えずというか、アーティストとしての絶対的な信頼があるんだと思います。
 内容のほうは、『フォークロア』『エヴァーモア』のライティング手法に、シンセサイザーをどっぷり振りかけたサウンドといった感触でしょうか。耳に残るのは、とにかく縦横無尽に響き渡るシンセサイザー!
 過去のロック・ポップ・カントリー路線を完全に排除し、私小説的・コンテンポラリー・エレクトロという新スタイルを確立した意欲作と言えるのかもしれません。
 こういうサウンドって決して嫌いじゃなく、内に秘めた感情を淡々と吐露してゆく構成もクールだと思いますけど…。もしテイラー・スウィフトをはじめて聴く人に「おすすめアルバムは?」と聞かれたら、う~ん、これじゃあないかなあ。。。

(来日公演「THE ERAS TOUR」は、2024年2月7~10日の東京ドーム4daysを予定)

 

 

『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』/テイラー・スウィフト
『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』/テイラー・スウィフト
The Tortured Poets Department/TAYLOR SWIFT
おすすめ度/★★★☆☆

(シングル)
『フォートナイト』

 テイラー・スウィフト通算11枚目のスタジオ・アルバム。
サウンド面は『ミッドナイツ』同様、主としてシンセポップなんですが、カントリーやロックをベースとしたキャッチーなナンバーもあり、前作よりはとっつきやすい印象を持ちました。
 「The Tortured Poets Department(ひどく苦しめられている詩人達の集まり)」というタイトルが象徴しているように、本作でテイラーが最も伝えたいものは「詩(歌詞)」なのでしょう。
全体を通し、内省、混乱、怒り、悲しみ、死、妄想など、湧き上がるプライベートな感情をモチーフとしており、捉えようによっては、リスナーに相当な忍耐を求められるアルバムという感じもしてきます。
 テイラー自身「作詞作曲することがリアルに必要だった」「命綱だった」と語ってますけど、彼女にとって曲を作ることは、単に商業的なものなのではなく、自分の人生を生きてゆくということなんだと思います。
 米大統領選にまで影響を与える存在になったことを重ね合わせると、テイラーが、かつてのジョン・レノンのように見えてきちゃいます。