評価 神映画
得点 99点
・原作は大人気マンガ「呪術廻戦」。本編より1年前の過去の話を描いており、乙骨憂太が自分に取り付いている怨霊、祈本里香の呪いをとくために呪術高専に入学するというあらすじ。見る機会がなく年をまたいだレビューになったが、先に感想を言っておくと「素晴らしい」作品だと感じられた。
評価点はこのようなところ。
①主人公、乙骨の成長を上手く描写出来ている
・本作における主人公、乙骨憂太は臆病で陰鬱な性格で、自身の死刑が決まっても死を受け入れようとしていたが五条悟の提案によって呪術高専に入学することとなる。乙骨は呪霊との戦いやクラスメイトとなる禪院真希、狗巻棘、パンダとの交流を経て段々と成長してゆき、最終的に夏油傑と呼ばれるかつて五条の親友だった呪詛師との対峙の際、戦うための力と勇気や里香との純愛を手に入れることになる。これらの展開は成長物語としてきちんと描写されていて感情移入しやすく楽しめるものとなっている。
②他のキャラ描写も良い味を出している
・飄々とした態度で乙骨に接触する五条、乙骨を最初は嫌っていたが互いに戦線を乗り越えて惹かれ合う関係となる真希、孤立する乙骨に対する狗巻の気遣い、気さくに絡んでくるフレンドリーなパンダといった呪術高専で乙骨を取り巻くキャラはもちろん敵対する勢力の呪詛師、夏油傑の選民思想や夏油を信奉する部下(ミゲル、枷場姉妹など)のような人物にもキャラの味の良さを感じられる。
③MAPPAの手がける大迫力の戦闘シーン
・呪術廻戦本編でも戦闘シーンの質は高かったMAPPAだが、映画クオリティにその質は進化している。激しいアクションや呪いのエフェクトの美しさに目を奪われ、とりわけ見所となる箇所は百鬼夜行、乙骨と夏油の決闘といった盛り上がり所となる場面であり、呪霊の大群や呪詛師と呪術師の激突が激しく描かれ、見る側を興奮させてくれる。
個人的にうーん…?と感じた部分もある。
①乙骨憂太のキャスティング
・主人公の乙骨憂太の声優は緒方恵美さんであり、キャスティング自体はキャラの雰囲気と合っていて良かったのだが「エヴァンゲリオン」のシンジ君をすぐ連想させてしまうような場面がちらつきどうしても被らせてしまう所が個人的に今ひとつに感じた。
とはいえ物語としての完成度の高さや美しさと激しさを兼ね備えたバトルといった、映画における見どころを原作ファンにも原作知らずでも楽しめるように共有された造りが良さを感じられる。ぜひおすすめしたい作品である。