その軌道に目を向ける | 坂口涼太郎 オフィシャルブログ powered by Ameba

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昨日の三日月は寝そべるのに最適なかたちをしていて、そのかたちに横になっている自分を夜空に投影。
その気分だけでも味わってみた坂口です。

こまごましたあれこれが積み重なり、いつの間にか十月も十日。
また久しくここに文章を書くという運びに至ったのは、本をまとめ買いしてしまったというのが要因で、それもわりと難しい作品ばかりでいちいち辞書を引く始末。
今まで見過ごしていた意味は分かっても読み方が曖昧な漢字。
文章の流れだけでだいたいの意味を汲み取っていた漢字。
漢字!総復習!
時とともに言葉は増えていくばかりで、永遠に勉強を要しますね。
言葉の流れを進行したり遡ったり、往復もいいところ。それはもはや反復ですね。


そういえば、このあいだ人を待っているときに男女の鳩を見つけました。
鳩男は鳩子の背にぴたりとくっついて追いかけまわしていました。
僕は目の前で鳩男と鳩子が地面に創りだす軌道をなんとなく見つめ、その動きから彼らの心情を汲み取ろうとしていました。

そこに現れた一人の少年。推定七歳。

彼もまた鳩たちの軌道の前で立ち止まり、それをじっと見つめていました。
しばらくすると一歩一歩ゆっくりと時間をかけて鳩男と鳩子のほうに近寄っていきました。
まるで「達磨さん転んだ!」という声が聞こえているように、一歩、静止、一歩、静止、を繰り返す彼。

そして遂に彼は鳩男と鳩子の描く軌道にのり始めました!
僕はしばらく、鳩子、鳩男、子ども、という斬新な列に感動して目を離せずにいると、突然少年が鳩男と鳩子を掴まえようと素早く手を伸ばしました。
鳩男と鳩子はもちろん驚き、二羽の軌道は空に向かって伸びてゆきました。
少年と僕はその軌道をしばらく目で追っていました。
すると少年はくるっと僕に向き直り、
「もうちょっとだったのにね」と言い、またくるっと向きを変え去っていきました。

少年はぴんと背筋を伸ばし、脇目も振らずに歩いていきました。
僕は急に話しかけられたのと、彼はいつから僕に見られていることを知っていたのかが不思議で、彼の姿が見えなくなるまで見つめていました。

彼の軌道はうらやましいほどまっすぐでした。


●その少年に、大志を抱け!と伝えたい坂口涼太郎のLIVE映像はこちら。