今回のブログでは、二十四節気を代表する唱歌を考えてみた。
①早春賦
歌詞:春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立たず
時にあらずと 声も立たず
季節:立春(2月4日~2月18日頃)
理由:冒頭の歌詞「春は名のみの風の寒さや」より、立春の候であることが明らか。
(B面:春よ来い)
②どこかで春が
歌詞:どこかで春が 生まれてる
どこかで水が 流れ出す
季節:雨水(2月19日〜3月4日頃)
理由:「雨水」とは雪が雨に変わる意であり、歌詞の内容に合致。
(B面:うれしいひなまつり)
③春が来た
歌詞:春が来た 春が来た どこにきた
山に来た 里に来た 野にも来た
季節:啓蟄(3月5日〜3月19日頃)
理由:春の到来の喜びを素直にうたっている。
(B面:春の小川)
④朧月夜
歌詞:菜の花ばたけに 入り日薄れ
見渡す山の端 霞ふかし
春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて におい淡し
季節:春分(3月20日〜4月3日頃)
理由:春らしく暖かくなってきた頃の春霞。菜の花の盛りもこの頃。
(B面:ちょうちょう)
⑤花
歌詞:春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 舟人が
櫂のしずくも 花と散る
眺めを何に たとうべき
季節:清明(4月4日〜4月18日頃)
理由:「清明」とは生物が生き生きとしている意で、歌の雰囲気に合う。桜が散るのもこの頃。
(B面:花の街)
⑥茶摘み
歌詞:夏も近づく 八十八夜
野にも山にも 若葉が茂る
あれに見えるは 茶摘みじゃないか
あかねだすきに 菅の傘
季節:穀雨(4月20日〜5月5日頃)
理由:冒頭の歌詞「夏も近づく八十八夜」より、晩春の候であることが自明。
(B面:鯉のぼり(甍の波と…))
⑦夏はきぬ
歌詞:卯の花の 匂う垣根に
ほととぎす 早も来鳴きて
忍び音もらす 夏はきぬ
季節:立夏(5月5日〜5月19日頃)
理由:時鳥は旧暦5月に鳴くべき鳥とされ、それ前(旧暦4月)の鳴き声は「忍び音」という。
卯の花が咲くのも5月。
(B面:ピクニック)
⑧夏の思い出
歌詞:夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 遠い空
霧の中に 浮かびくる
やさしい影 野の小径
水芭蕉の花が 咲いている
夢みて咲いている 水のほとり
石楠花色に たそがれる
遥かな尾瀬 遠い空
季節:小満(5月21日〜6月5日頃)
理由:ミズバショウの花が咲く季節。
(B面:おお牧場はみどり)
⑨かたつむり
歌詞:でんでんむしむし かたつむり
お前の目玉は どこにある
角だせ 槍だせ 頭だせ
季節:芒種(6月6日〜6月20日頃)
理由:梅雨。
(B面:あめふり)
⑩海
歌詞:海は広いな 大きいな
月が昇るし 日が沈む
季節:夏至(6月21日〜7月6日頃)
理由:海開きの頃。「月が昇るし日が沈む」という歌詞から日の長さが感じられる。
(B面:たなばたさま)
⑪浜辺の歌
歌詞:あした浜辺を さまよえば
昔のことぞ 忍ばるる
風の音よ 雲のさまよ
寄する波も 貝の色も
季節:小暑(7月7日〜7月22日頃)
理由:日中は暑いので、朝と夕方に外に出る。
(B面:ふじの山)
⑫われは海の子
歌詞:われは海の子 白波の
さわぐ磯辺の 松原に
煙たなびく とまやこそ
我が懐かしき 住家なれ
季節:大暑(7月23日〜8月7日頃)
理由:梅雨もあけて晴れ続き。夏休みに磯遊び。
(B面:椰子の実)
⑬小さい秋みつけた
歌詞:誰かさんが 誰かさんが
誰かさんが 見つけた
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
お部屋は北向き くもりのガラス
うつろな目の色 とかしたミルク
わずかな隙から 秋の風
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
季節:立秋(8月8日〜8月22日頃)
理由:「小さい秋」の解釈は様々にできるが、二番の歌詞に出てくるモズは秋を告げる鳥として知られる。
部屋の中から秋の気配を敏感に感じ取った歌と解釈してみたい。
(B面:故郷)
⑭虫のこえ
歌詞:あれ松虫が ないている
チンチロチンチロ チンチロリン
あれ鈴虫も ないている
リンリンリンリン リインリン
秋の夜長を なきとおす
ああおもしろい 虫のこえ
季節:処暑(8月23日〜9月7日頃)
理由:夜になると松虫が鳴き、秋を感じられるようになる頃。
(B面:とんび)
⑮赤とんぼ
歌詞:夕焼け小焼けの 赤とんぼ
追われて見たのは いつの日か
季節:白露(9月8日〜9月22日頃)
理由:赤とんぼが里に降りてくる頃。
(B面:証城寺の狸囃子)
⑯夕焼小焼
歌詞:夕焼小焼で 日が暮れて
山のお寺の 鐘がなる
おててつないで かえりましょ
からすと一緒に かえりましょ
季節:秋分(9月23日〜10月7日頃)
理由:どんどん日が短くなる頃。暗くならないうちに帰りましょ。
(B面:七つの子)
⑰里の秋
歌詞:しずかなしずかな 里の秋
お背戸に木の実の 落ちる夜は
ああ かあさんとただ二人
栗の実煮てます いろりばた
季節:寒露(10月8日〜10月23日頃)
理由:木の実のなる頃。秋も深まった感じがする。
(B面:どんぐりころころ)
⑱紅葉
歌詞:秋の夕日に 照る山もみじ
濃いも薄いも 数ある中に
赤や黄色の 色さまざまに
水の上にも 織る錦
季節:霜降(10月24日〜11月7日頃)
理由:紅葉の時期。秋の終わり。
(B面:まっかな秋)
⑲たきび
歌詞:かきねの かきねの まがりかど
焚き火だ 焚き火だ 落ち葉焚き
あたろうか あたろうよ
きたかぜぴいぷう ふいている
季節:立冬(11月8日〜11月21日頃)
理由:木枯らしが吹く頃。
(B面:北風小僧の寒太郎)
⑳冬景色
歌詞:さ霜消ゆる 湊江の
舟に白し 朝の霧
ただ水鳥の 声はして
いまだ覚めず 岸の家
季節:小雪(11月22日〜12月6日頃)
理由:寒い冬の朝の情景。
(B面:こぎつね)
㉑雪
歌詞:雪やこんこ 霰やこんこ
降っては降っては ずんずん積もる
山も野原も 綿帽子被り
枯れ木残らず 花が咲く
季節:大雪(12月7日〜12月21日頃)
理由:根雪になる時期。
(B面:ジングルベル)
㉒お正月
歌詞:もういつく寝ると お正月
お正月には たこあげて
こまをまわして あそびましょう
はやく来い来い お正月
季節:冬至(12月22日〜1月5日頃)
理由:正月間近。
(B面:一月一日)
㉓スキーの歌
歌詞:輝く日の影 はゆる野山
輝く日の影 はゆる野山
麓を目がけて スタートきれば
粉雪は舞い立ち 風は叫ぶ
風は叫ぶ
季節:小寒(1月6日〜1月19日頃)
理由:雪がよく積もった頃。スキーがしたい。
(B面:スキー)
㉔冬の夜
歌詞:燈近く 衣縫う母は
春の遊びの 楽しさ語る
居並ぶ子どもは 指を折りつつ
日数かぞえて 喜び勇む
囲炉裏火は とろとろ
外は吹雪
季節:大寒(1月20日〜2月3日頃)
理由:一番寒い時期であると同時に、春へのカウントダウンも始まっている。
(B面:ペチカ)