見えない魔法
才能のある俳優が、いつも素晴らしい演技をするとは限らない。
誰かと繋がったときだけ、見えない糸を引く。
それは共演者だったり、スタッフの熱意だったり、監督への信頼だったり。
たとえば台本の読めない監督の前で、身体を投げ出すことは、およそ簡単なことではない。
もちろん俳優、演技が、作品を形作るすべてのパーツという訳でもないのだが。
ただ見栄えの良い、テンポの良い、だけでは、もうしばらく食傷気味だ。
目に見えない魔法は、自(みずか)ら感じていなければ、決して観客には伝わらない。
前へ進んでいる。
例えば考えやセンスが一緒ではない、思った通りに振る舞ってくれない。
誰かとセッションするときには、そうした必ずしもうまくいかない時もあるだろう。しかしいかなる場合でも、悪意を含めて良いケースなどない。
意外とそうした部分を客観的に観察している自分がいて、気をつけようと思っている。
努力して失敗したなら、前へ進んでいる。
映画『パーク アンド ラブホテル』
2008年ベルリン国際映画祭で最優秀新人作品賞を受賞した作品。
女優としてはあまり印象のなかった、ちはるさんに目を奪われた。
健康的で清潔感がある。それでいて色気を失わず、自らのタレント性に依存しない潔(いさぎよ)さがある。
何かの賞を取っているから言うわけではないが、最近の邦画では稀(まれ)にみる質を携えている。そして主演のりりぃさんの演技は似たセンスを感じる。そう思わせてくれるのは、きっとそれだけの力を持っているからなんだろう。
今度は男性の登場するシーンを、もっと見てみたい。