一般の方から平泳ぎのあおり足や、現役スイマーの方からキックの効率について相談を良く受けますが、
平泳ぎのキックの向上を難しく感じる最大の理由として、
間接に対して不自然で複雑な動きを行っているのに、水中は支持点がないため水を捉えているかどうかが分かりにくいことが挙げられるのではないかと、平泳ぎを専門にしていた者として思います。
水を捉えていても、いなくても足は水中で動かせてしまうのですが、結果的に足がスカスカしてしまったり、前進する感覚を得ることができなかったりする。
ついでに上手くキックで水を捉えてないと下半身が沈降してしまうので、慌ててしまって回転ばかりが上がってしまう。
こんなところが平泳ぎのキックを練習する上で悩みどころのスイマーも多いのではないかと思います。
足の柔軟性や水を捉えることへの感覚的な鋭さには個人差がありますが、柔軟性を向上するためにストレッチをすることは大事である一方、万里の長城を一日一歩ずつ前に進むようなもので、望む柔軟性を得るためには、気の遠くなる時間が必要になるでしょう。
であれば、与えられた時間内に結果を残すために少し平泳ぎのキックに対する考え方を変える必要があるのではないかと思います。
国内外のトップスイマーのキックは素晴らしいですが、身体特徴に合ったキック行っているから効率が良いのだろうし、またキックやキックの技術にこうでなければいけないという確固たるガイドはないのですから、
こうありたいと思うキックのモデルを持ちつつも、自身の身体的特徴に合わせてそのモデルを変化させられるような発想の柔軟性が重要だと思います。
逆を言えば、こうでなきゃダメだと、フォームに対する概念を限定しないことが良いキックを打つコツなのでは!?
個人的な話ですが、僕が現役だった2000年当時は、最近現役復帰を果たしたE・モーゼス選手の泳ぎがすごく話題になって、水を後ろに押し出すようなウィップキックが注目を浴びたんです。だから僕もそれができるように血眼になって練習するんですが、スカスカして水を捉えられませんでした(涙)
そこで、一緒のキックができないなら、自分なりできるキックをしようと、引きつけの時間を短縮することと、水を捉えられる角度まで足を開いても良いからできるだけ長く水を後ろに押し続けられるようにということに焦点を絞ってキックをしてみたところ、随分とキックが良くなったことを覚えてます。
また、板キックが速くないと速く泳げないような錯覚を持ちがちで、USC時代から200mの板キックをすごいテンポでガンガン打って、短水路のキックのタイムで2分42秒まで上げましたが、そういった努力がスイムにあまり生きなかったんですよね。
板キックのタイムが必ずしもスイムでのタイムに直結するわけではないから、一蹴りずつを丁寧に打とう意識を変えた頃からスイムに繋がるキックができるようになってきたと思います。
勝負はキックじゃなくて、スイムで決着するのだ!!なんてね(笑)
また、一般の方のあおり足等は水中で感覚を掴みにくいし、下半身が沈むことへの焦りがあるようなので、
支持点のある陸上で沈むことへの不安を取り除いた所での、キックの感覚を掴んだり、足のつま先を外側に向けた状態で動作を行う練習をすることで一定の成果を出せるのではないかと、これまで指導をさせていただいた経験から感じています。
随分と長い書き込みになりましたが、練習をされる方の努力を結果に結びつけるための参考になればと思います。
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