【やり直す力】

サッカーで高いパフォーマンスを出すにあたって大切な能力に「キャンセル能力」というものがあります。

「修正力」とも言えるかもしれません。

サッカーは対人スポーツなので、基本的に、相手や味方に対してのレスポンスで、その都度どのプレーをするかを決断し、行動に移します。

例えば、オフェンスで自分がボールをキープしている場合、ドリブル、パス、シュートの三択がベースとなり、何もしないで待つなどの選択肢もあります。観客席からは分かりにくい選手同士のかけ引きもありつつ、次に何をやるか決めるのです。


「キャンセル能力」とは、相手の動きを見て(感じて)、直前でプレーを変えられる能力のことです。

そのキャンセル能力にも、

①直前で相手や味方の動きに反応し、反射的にキャンセルしてプレーを変えるパターン

②相手や味方の動きを考え、予測してあらかじめキャンセルすることを決めていてそれを実行するパターン

があります。

相手にとって脅威を与えるプレーという前提では、①のキャンセル能力の方がより高い運動能力が必要です。



サッカーのキャンセル能力で代表的なのは「キックフェイント」。

蹴るフリをして、直前で「やっぱりやーめた」と相手を騙し、ドリブルかパスをするプレーです。



〈2019年にJ1リーグでMVPを取った横浜Fマリノスの仲川選手のゴールシーン。絶妙のタイミングでのシュートキャンセル→ドリブルをワンタッチ→左足のシュート→ゴール、というシーン。特筆すべきは、仲川選手は右利きだということ。しかし、右のエリアから左足のタッチで中へ切り込み、左足のキックフェイントから左足でワンタッチし、左足でシュート。このゴールはまるで左利きの選手かのように全て左足から生まれています。その力みのないナチュラルな動きから、4人ものディフェンダーがキックフェイント(プレーのキャンセル)に引っかかっています。右利きの選手が左足でこのパフォーマンスを魅せられるのは、プロがプロである理由を感じられるゴールシーンでもあります


このようなプレーができない選手ができるようになりたい場合、サッカー選手としてどのようなフィジカルが必要となるでしょうか?
※ここでは、状況把握の能力(見る能力や認知能力、予測力)は飛ばして、それ以外のフィジカルにフォーカスします。


シンプルな答えの一つに、このようなプレーができない選手は、

そもそも「片足立ち」が上手くできないという理由があります。

片足立ちをした場合、ほとんどの人が右足が軸、左足が軸のどちらかの方が立ちやすいと感じると思います。

例えば、右利きの選手の場合、キックの時に左足が軸となるので、左足が軸の片足立ちのがやりやすく、逆はやりにくいことが多いです。極端に利き足に頼っているサッカー歴が長い選手ほどそうなっていることが多いです。

やってみてその差がよく分からない場合、その差が分かるまで、数分間かけてでもジーッと片足立ちをやってみてください。ほぼ必ず疲れてくる筋肉の部位の左右差があるか、姿勢に左右差がでるかと思います。また、フラついてからのリロード(体勢の立て直し)の質にも違いを感じるはずです。よくあるのが、軸にするのが苦手な側は、段々と前ももや外もも、脛や足の裏、腰などがすごく張ってくるという現象です。

それは、ほぼイコールで「力んで」立っていると言えます。

先程の仲川選手のキックフェイント時の右足一本立ちの瞬間、「力み」のなさを感じませんか?
(それを感じるコツは、選手の全体像を見ること。このシーンでは、特に胴体や腕の動きに注目すると感じられると思います。)

シンプルな片足立ちで「力み」がめちゃくちゃ出る選手が、複雑なスポーツシーンの中で、例外を除いて最適な片足立ちはできることはありません。「力み」によるキックフェイントは、相手にバレバレになることがほとんどで引っ掛けにくいです。
※その理由の一つに、力んで無理やり動いた場合、本来自然に発生する「しなり」や「反動」の力が発生しにくいということが挙げられます。また、キックフェイントに至るまでの動きの過程がポイントの場合もあります。

つまり、キックフェイントによるキャンセルで相手を騙すプレーは非常にやりにくいことになりえます。
それは、プレーの選択肢が一つ消え、プレーの幅が一つ狭くなり、伸び代が一つ消えることを意味します。

片足立ちの質が落ちている場合、その理由はもちろんちゃんとあります。また、キックフェイントが上手くできない理由が片足立ちの質以外の場合ももちろんあります。それは選手により違います。

ただ、「片足立ちの質」に関しては、選手が1人でもチェックしやすい項目になるのでぜひ試してみてください。


最後までお読みいただきありがとうございました。


追伸


ある程度のレベルでサッカーをやっている選手の場合、このプレーができない理由の一つに、「筋力不足」はまずないと思います。「柔軟性不足」は少し関係することもあるかもしれません。


隠れ家トレーニングn

214-0034 神奈川県川崎市多摩区三田1-28-2ライブリー三田205

tel:070-4417-7897

HP:ynls0.crayonsite.net