【見た目で全てを判断しないことが重要】


knee-in-toe-out(ニーイントゥアウト)は
様々なスポーツ動作、
歩行や立ち上がりなどの日常生活動作で
矯正の対象にされる項目です。

knee-in-toe-outとは、
一連の動作の中で、
「つま先は外を向き、膝は内を向いている状態」が瞬間的に出た時、
それを指す言葉です。
※見た目として、ももの骨が内側に倒れ内側に回旋し、脛の骨は内側に倒れ外向きに回旋しています。


この状態は外傷や慢性障害に
繋がりやすいため
リハビリやスポーツ現場で

「膝が内側に入らないように」
「膝とつま先は同じ方向で」

などと指導が入ることが多いです。

具体的には、
日常の歩行動作、バドミントンの踏み込み、バスケットの方向転換、バレーボールのジャンプの踏み切りや着地、筋トレのスクワットやランジのしゃがんだ瞬間などにknee-in-toe-outが出現しやすいです。
※器械体操や新体操などの魅せる競技でも、真っ直ぐ伸びた膝の方が美しいですよね。


このような指導や情報が広まっているため、ほとんどのアスリートが「knee-in-toe-outは良くないもの」と認識し、注意しています。

にも関わらず、そうなってしまう選手が多い。。。

それはなぜか?

それは

knee-in-toe-outにした方が
目的が達成しやすいから

に他なりません。


どういうことか?


例えば、

歩行では
「自分の身体を自分の思っているスピードで前に運ぶこと」が目的

バドミントンでショット後の踏ん張りでは
「相手の次の攻撃に備え、素早く次の動作に繋げること」が目的

バレーボールのスパイクジャンプでは
「相手コートにボールを落とすために、自身の体をボールを打つ最適なタイミングで最適ポジションに到達させること」が目的


となります。


それらの目的を達成させるために、選手によっては、knee-in-toe-outさせた方が都合が良いからそうなる訳です。また、物理学的にも膝を内側に入れた方が効率は良いです。

※階段の昇りをイメージすると分かりやすいと思いますが、膝を内側に倒した方が、体を上に運びやすく感じませんか?この感覚がよく分からない場合、疲れるくらい長い階段を登り続けてみてください。太ももが疲れてきた頃には、普段より上半身を前に倒し、膝を内側に入れながら登る方が楽なことに気づくと思います。


このように考えると、
「knee-in-toe-outは良いパフォーマンスを発揮するために必要なもの」と言えるので、一概に悪いものとは言い切れません。

さらに掘り下げると、
「knee-in-toe-outがクセになると怪我しやすいが、良いパフォーマンスを発揮するためには必要」という考えになります。

そうすると、
特に、膝が痛い人やアスリートにとって、この矛盾をどう解決するかが課題になります。


ただ、ここで想像すべきことは、

トップアスリートの動きを見た時、
1試合の中で1回もknee-in-toe-outが
見られない選手がいるか?

ということです。

なぜなら、トップアスリートの動きは
その競技の一つの理想形を示しているからです。

答えはNOです。

例外を除いて必ずknee-in-toe-outの
シーンは出てきます。






〈左コート、全日本のレフトからの一連のアタックです。最後はブロックアウトでポイントを取った場面。打った選手の1回目のフェイントの時、2回目のスパイクの時、ジャンプの瞬間は確実にknee-in-toe-outしています。だからといってこの動作を矯正した方が良いでしょうか?矯正の結果、パフォーマンスが落ちることもあります。もし矯正するなら、それによりパフォーマンスダウンしないフィジカルを作ることが必須です。それができればより理想だと思いますが、様々な思考と感性と努力が必要です。つまり、選手がどこまで高みを目指すかで、その戦略が変わると言っていいでしょう〉


つまり、

「必要なknee-in-toe-out」
「矯正すべきknee-in-toe-out」
あると考えられます。

それをどこで判断するか?

トレーナー目線でいうと、
その選手の基本動作や力強さを
スクリーニングすることで判断します。

※以前の記事の体幹トレーニングを体の機能評価に用いるもそのスクリーニングの一つです。

もし、様々なスクリーニングの上、フィジカル能力が問題なければ、一見すると矯正したくなるknee-in-toe-outの場面があっても、痛めるリスクは少ないと言えるかもしれません。
※また、その場面で物理的な力がどの方向に働いているかも大切な視点です。

これらの具体的な手法や分析の仕方は、トレーナーの専門分野になりますし、長くなるので今回ではここまでにします。


次にknee-in-toe-outの内容に触れる時は、knee-in-toe-outから中々抜け出せないアスリートに何が足りないのか?について述べたいと思います。紐解けば、knee-in-toe-outさせないと目的達成できない理由はしっかりと存在します。


最後までお読みいただきありがとうございました。




追伸

knee-in-toe-outで怪我をする理由や具体的な症例は以下の通りです。簡単にですが、興味のある方はお読みください^_^


knee-in-toe-outの瞬間、膝に体重がたくさんのった場合、捻れと圧迫と牽引の負荷がかかり、内側半月板(あるいは外側半月板)、内側側副靱帯、前十字靭帯を損傷しやすいとされています。その全てに損傷や断裂を起こすという最悪のケースとあります。

そして、やっかいなことにknee-in-toe-outは慢性障害の主要因になり、下半身の痛みに直結しやすいという特徴があります。

やや拡大解釈も交えて障害名を挙げると

1趾や2趾の爪の変形や損傷、強剛母趾、母趾種子骨障害、基節骨疲労骨折(特に2、3、5趾)、外反母趾、内反小趾、有痛性外脛骨、足底腱膜炎(筋膜炎)、アキレス腱炎(周囲炎)、アキレス腱や踵骨付近の滑液包炎、シンスプリント、脛骨疲労骨折(跳躍型、疾走型)、鵞足炎、オスグッド病やジャンパー膝を含めたアンテリオールニーペイン、ランナーズニー(腸脛靱帯炎)、FAI、グロインペイン症候群、肉離れ(腓腹筋、ハムストリンス、大腿直筋など)

など。

そして、これらの症状の原因としてknee-in-toe-outとセットで現れやすい足の変形。

外反母趾、内反小趾、回内扁平足、開張足、ハンマートゥなどがその代表となります。
※足首の捻挫の経験がある選手は、靭帯が伸びてしまい足首が不安定になるため、変形がよりでやすい傾向にあります。なので、学生時代に足首の捻挫を経験するアスリートも多いので、足首の捻挫は軽く見ずにしっかり治したい所です。

上記の外傷や慢性障害の内容は、他のサイトでお調べください。


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