ため息にならないように、口をとがらせて、ふぅーっと息を吐く。きゅっと口を引き結び、しかめた眉で時計を見る。
ふと、自分の年齢を考えてみる。
早かったな、随分と。
知らず知らずに思いは言葉になる。
口からお迎えに行ったらいよいよ終わりだから、そっとアルコールを口に運ぶ。
Winelightが聴きたいな。YouTubeをダブルクリックして、ヘッドフォンを手に取る。
「下北沢のさ」
僕は喫茶店で話しかける。
「下北沢?」
「ほら、一緒に行ったじゃないか。南口の商店街のさ」
「下北沢の南口?」
彼女の言葉は要領を得ない。
「ほら、行ったじゃないか。あの坂を下るとさ、右側にあるんだよ。階段を上がるとさ、ごちゃごちゃっとした立ち飲み屋みたいなのがたくさんあってさ、その下の階だったかな? そこにあるんだその喫茶店」
それはどうやら、今いる場所のようだ。
隣にいた彼女は、いつの間にか僕の目の前、カウンターの内側に座っている。
女の店員さんがメニューを彼女に広げている。
ラストオーダーか? ずいぶん早いな、まだ夕方なのに。
あぁ、夜は違う店になるのかな。
テレビのニュースのせいか、妙な夢を見た。
下北沢も変わっただろうな。
そんな場所などないのに、ごちゃごちゃとした立ち飲み屋がたくさんあるそのビルの夢は何度か見たような気がする。
うん、間違いなく見ている。
どこにあるんだろう。
そして、僕の連れは誰だったのだろう。
Grover Washington Jr / Winelight
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