少年時代木々を揺らせて吹き過ぎる風。潮騒にも似たその音に、ごろりと寝転んで目を閉じる。ジーワジーワと蝉の声。蚊取り線香と日に焼けた畳の匂い。首振りが引っかかるのか、ちょっと気になる扇風機の音、じんわりじわじわ首筋と胸元に汗。カルピス飲もうかなあ……の、なあ、も思い切らないうちに降りてくる眠りの精。手付かずの宿題以外、これといった心配もなかったあの頃。引き止める声も届かず、夏が終わってゆく。少年時代/井上陽水ポチポチッとクリックお願いします。短編小説 ブログランキングへにほんブログ村