風が季節を連れてくる。
はる、なつ、あき、ふゆ、風が吹く。
己の意志で咲いたのか、知らず知らずに咲いたのか。
寒さ緩むころを待ち、定めのように膨らむ蕾、
掟に沿うように開く花。
柔らかな日差しの下で、可憐な花がゆらりふわりと風に揺れる。
それは、季節が織りなす懐かしき色模様。

咲いた花はやがて散り、跡形もなく消え失せる。留まることは許されない摂理の冷徹さに、人は時に涙を流す。
諸行は無常。歩みを止めることなく季節は巡る。
走るその膝を折るように、伸ばすその手を払いのけるように。
戸惑い、迷い、立ち止まり、天を仰ぐ。
それでも人は顎を引き、前に進む。まるで季節を追うように。
だからこそ、どんなときにでも、人は春を待ち望む。
凍える冬の只中で、春よ来いと、願い続ける。
淡き光立つ 俄雨 いとし面影の沈丁花 溢るる涙の蕾から ひとつ ひとつ香り始める
それは それは 空を越えて やがて やがて 迎えに来る
春よ来い/松任谷由実
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