「行ってきます」ふわりと正座した娘は、ゆっくりと腰を折った。
何か聞こえたのか、ふっと懐かし気に笑い、目を閉じた。
「父さん、寂しくなるかな」ちょっと眉をしかめて、ひとつ鼻をすすった。
「さ、行こうね」何かを吹っ切るように、娘はこくこくと頷いて、写真の中で笑う母親に手を合わせ、その写真立てを胸に抱いた。
「生んでくれてありがとうね。あたしも、お母さんに負けないような母になります」

春は桜、夏はひまわり、秋はコスモス、冬には水仙。
すべての花たちが、風に翻弄されながら日差しを受けるように、寒さに震え、道に迷う日は、愛してくれた人がいたことを忘れぬように。
愛しているよと口にはしなくとも、心砕いた人がいることを忘れぬように。
さだまさし/秋桜
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