猫たちの戦争「11」 | 風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」

みんなで話し合いが行われ、自然な流れで2匹の長老たちも一緒に住むことになった。あれほど猛々しかったケビンも穏やかな顔になった。

「お前も一族をまとめることに必死になったのじゃろう」
隣町の長老がケビンに語り掛ける。



「けれどな、ワシらは猫族じゃ。誰の支配も誰の指図も受けない。何者にも従属もしない。ほれ見ろ、あの空をゆく雲のように、風と己が心に身をゆだねて生きるのが猫族じゃ。心の底から自由なのじゃ。気負いすぎるな」



「はい。あの時はすみませんでした」
「あの時?」
「長老を追い出したような形になってしまって……」

「ん? ケビン、ワシの言葉を聞いておらなんだか? ワシもまた、お前たちより長く生きている、骨の髄からの猫族じゃ。誰の指図も受けん。あの公園を出たのは、ワシの意志。つまらぬ心配は無用じゃ」

「マギーのおかげでうまく運んだな」長老とケビンの会話を聞きながら、殿下が隣で囁いた。
「いや、僕は何もしてない。チャトラのキャラが頑張ってくれた。でもほら、見てごらん、彼女は本気で悲しんでる。僕も少し後悔している。あの猫が死んじゃったんだから」

「あれは事故さ、そして尊い犠牲者だ。あれがなければ」
「いや、分かってる。それは僕もわかってるんだ」

殿下と僕の間で、少しの沈黙が流れた。僕は言葉を探したけど、それは後悔以外のものをもたらしそうにもなかった。

「隣町の公園って、どんなところなんだろうな」殿下が何かを吹っ切るように口にした。
「僕は知ってるよ」
「マギーは行ったことがあるのか?」
よく知っている。だって僕はそこでよく遊ぶから。それに僕はマギーじゃなくて、良介って名前の小学4年生だから。

「まあ、通りがかって周りをうろうろしただけなんだけど、この公園より遊具が多いんだ。ブランコや鉄棒だけじゃなくて、滑り台やジャングルジムや、アスレチックの木製遊具なんかがあって、子供たちや親子連れが多いんだ」

「そうなんだ。この公園はお年寄りや本を読んでいる人が多いからなあ」
「うん。この公園よりにぎやかなことは確かだよ」


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