「来たよ。たぶんあれだ」木の上から聞こえる静かな声が合図だった。キャラともう一匹を先頭にして、猫たちは公園の前の茂みに身を隠した。

「行くぞキャラ」
えさを置いて立ち去った人間たちの姿が見えなくなるのを確認して、2匹は公園の前に進み出た。
一匹の猫がそのえさに歩み寄る。
飛び出したキャラが声を限りに叫ぶ。
「それを食べちゃダメよ!」
「やめろキャラ! そんな奴ら死んだっていいんだ!」
「あなたは放っておいて! 毒の食べ物なんて見過ごせないわ!」

2匹は取っ組み合いになった。
よほど腹を空かせていたのか、騒ぎをよそに一匹の猫がガツガツとそれを食べ始めた。
「やめて! 食べちゃダメ!」
「こいつらなんて死んだっていいんだって!」

1匹が食べ始めるとほかの猫も寄ってきた。
その時だった。えさを食べた猫が突如嘔吐し、苦しみ始めた。
「やっぱり毒だわ! だから言ったのに!」キャラは泣き叫ぶ。
ほかの猫たちも驚いたように見つめている。
「不用意に食べちゃダメよ! 大丈夫な食べ物を運んでくる人たちは、私たちだけが知っているわ! 私たちはここでずっと暮らしてきたんだから」

「お前たち、なにをしておる!」長老たちが出てきた。
「何を争っているんだ」

「僕たちの公園が奪われたんだ!」
「それはまた、どうしたことだ」隣町の長老は目を大きくし、この町の長老は眉間を鋭くした。
「俺たちの公園が閉鎖になったからさ」どうやら隣町のボスらしき猫だ。
「公園が閉鎖?」
「事故が起こったらしいいんだ」
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