企業名やら雑誌名やら商品名などのデザイン文字をロゴ・タイプというのは皆さんご存じの通りです。
「何でまたこうも矢継ぎ早に課題が出るかね。授業で終わらせればいいものを」
「なんか……お前の話し方おっさん臭い」
「どこが」
「矢継ぎ早なんて普段使わないぜ。出るかねってなんだよ。全体的にどうもおっさん臭い」
「そんなことより、ロゴ面倒臭せ~」
「いらんことごちゃごちゃしゃべってないで、授業中に終わらせればいいんだよな」
「みんなさ、山田うどん食べてく?」
「お、行こうか」
そんな急ぎのとき、僕には秘策があった。定規もコンパスも烏口も使わない秘策が。
とっとと家に帰り、水で溶いた黒のポスターカラーを筆に付け、気に入った商品名をやおら描いていく。気に入ったと言うより、筆文字に似合うものを選んだといった方がいいだろう。筆を変えて何枚も何枚も描いていく。
その中の一枚を取り上げ、適当にトレースしてゆく。そしてケント紙に写し筆で仕上げる。
あっという間に完成する。
それがたいていいい評価を受けたりした。まあ、それは窮地の策でそんなことばかりしていたわけではないのだけれどね。
その頃ロゴタイプの分厚い本を持っていて、自分には描けないという意味ですごいなあと思ったロゴはブリヂストンだった。
創業者の石橋正二郎の「ストーン」(石)と「ブリッジ」(橋)を逆さまにくっつけたものだというのは有名な話。
ところで、ブリヂストンって、みなさん気がついていましたか。ブリジストンじゃないんです。
ちに点々のヂは「痔」にしか使わないって誤りだったんですねえ(笑)


下がもっとも新しいロゴ。基本的なものは一貫しているけど、このパターンのもっとも初期のロゴが一番良かったな。
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