もっと光を | 風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」

僕の働く街は歓楽街である。かといって、僕がいかがわしい仕事をしているというわけでは、もちろんない。

店舗がいくつかあるのだけれど、そのすべてが歩いていける距離にある。その店舗間での異動もある。
僕が最近異動した先は、もっとも客層が悪いといわれる店である。

〝腐った街に、腐った奴らがやってくる!〟
そんな表現がよく似合う一角。

酔客が嬌声を上げ、男よりも男らしいおかまや、頭を振ったら脳みそがカランコロンと音を立てそうなホストや、それと同程度のキャバクラ嬢が歩き、ぼったくりバーの客引きや黒人のキャッチがうろつく街。

何というか、やくざ者が優しい人にさえ見える街。



僕が一番長くいた店は、妙な客は排除する、という方針を伝統的に貫いてきた。
だから僕も、驚くほどたくさんの武勇伝を持っている。そう、実力行使に出るのだから。

けれど、異動した店舗は、ちょっと様相が違っていた。そのせいで、僕ははっきりとしたスタンスを取れずにいる。

だから僕にできることは、良いものを探すこと。腐った奴らが後から後からやってきて、物を盗み、会計の札を投げ、大声を上げていても、良いものを探すこと。目も耳も閉じずに良いものを探すこと。

すると、自分の目線と行動が変わり、そこに、光が見えたりもするんだ。闇に光が差すときもね。

嫌がっていたり、投げやりになったりしていると、ろくなことが起こらないって、そう教えてくれたのは君の天使たちじゃなかったっけ?


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