鉄棒の棒は、その名の通りやけに鉄臭かった。
僕たちは手のひらに鼻を近づけてくんくんした。
まごうことなき鉄棒が醸し出す鉄の匂いだと納得した後は、喉が渇いたなあと顔を上げた。
その先には、日差しに照らされる校庭が広がっていた。

体育やクラブの後に飲む水は命だった。
僕たちは狂ったように水場に走り、蛇口に噛みつくんじゃないかという勢いで水を飲んだ。
喉の渇きが癒えれば、後は腹を満たすことだった。
かあちゃんは、何を作ってるかなあ、晩ご飯は何だろう……。

放課後の校庭に吹く風は少しの汗のにおいと自由の香りがした。
あの頃夢見た未来は、今ここにある。
満足がいくとかいかないとか、許せるとか許せないとかなんて、論じる方がおかしい気もする。
だって、自分が選んだ未来なんだから。
様々な苦悩とか、涙とか、怒りとか、喜びとか、笑いとか、すべてを飲み込んで、あの頃の未来はここにあるのだから。
よく生きたなって、自分の手を見たりする。
頑張ったなって、ふって笑いながら。
僕は、苦しくたって、まっすぐ生きてきた自負がある。
そう、世間で言えば、上手く曲がれない愚か者なのだろうけど。
だから少し、他の人より扱いにくいかもしれない。
そんな恐ろしく不器用な僕の思いは届くだろうか。
ぶきっちょな僕の、精一杯の LOVE SONG は君の胸に届くだろうか……。
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久保田利伸/LA・LA・LA LOVE SONG