忘却の彼方へ | 風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」
痛かったことも、辛かったことも、
悲しかったことも、悔しかったことも、
嘲(あざけ)り笑われ屈辱にまみれた日々も、
人は、忘れる事ができる。
忘れるからこそ生きてゆける。

それは、心を打ちのめす刺々しい臨場感と、耳を塞ぎたくなるような周波数を伴わなくなったと言い換えた方がいいのかもしれない。

実のところ、人は忘れることができない。けっして忘れることはできないけれど、痛みを感じなくなる通過点を必ず持っている。

人の顔も名前も電話番号もすべて忘れ去ってしまったら、そう、食事をしたことすら忘れてしまったら、それは違う病と診断されるかもしれない。
けれど、覚えていても痛みを感じなくなったとき、人は忘れると言う。覚えていてもあっさりと、忘れたと口にする日が来る。

それは神がくれた時の癒し。
忘れようとして別の何かに集中してもそれは一時的に過ぎない。違う何かに逃れても、それは追ってくる。
忘れることに〝フリ〟はできない。無理にチューニングを変えることはできない。



熱いものが喉元を過ぎるまで泣けばいい。忘れようなんて無理はしなくていい。涙枯れるまでジタバタすればいい。
ただし、自分を貶(おとし)めてはいけない。他人を責めてはいけない。ただ、べそべそと泣けばいい。

僕たちはそうやって生きてきた。
今がどんなに辛くたって、それがずっと続くわけなどない。

〝禍福はあざなえる縄のごとし〟
やがて柔らかな日差しが微笑みを浮かべて、君の肩を叩く。

君が忘れ続ける限り、未来はそこにある。


Mr.Children「GIFT」



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