ん? 何がって? 君の天使たちだよ。
君の天使たちはね、君が生まれてからずっと一緒にいたんだよ。
君が嬉しいときも、君が悲しいときも、君が泣いたときも、君が困ったときも、君がふてくされたときも、ずっと一緒にいた。
君が好ましくない方向へ行こうとしたとき、天使たちは慌てふためいた。そして、その背中の羽をばたばたとさせて、君を違う方へ導こうとした。
それはうまくいったときもあれば、うまくいかなかったときもある。
良い方向へ導けたときは、天使たちはその羽を喜びで満たした。でも、力及ばなかったときは、その羽をそよそよと動かし、悲しみに打ちひしがれた。
天使たちは、君が呼んだものではないよ。
君が生まれたとき、君を助けようとしてやってきた天使たちだ。それからずっと君に寄り添っている。
幼い頃は、君の目にその天使たちは映っていた。でも、君が長じていろんな情報に惑わされ始めたとき、君の耳は閉じた。その目は見える物、その手は触れる物しか信じなくなった。
![あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」-天使のささやき](https://stat.ameba.jp/user_images/20130324/04/ryosuke-u/26/dc/j/o0650043412470504716.jpg?caw=800)
耳を澄ませてごらん。
天使の羽音を聞いてごらん。
天使たちはいつも、君を助けようとしている。
どんなに苦しくたって君はひとりではないことを忘れちゃいけない。
ひとりぼっちだなんて言ったら、天使たちはその羽をしぼませて、きっと泣く。
君に明日が来る前に、天使たちにはその羽を明日に向かって羽ばたかせている。
君を守ろうと、眦(まなじり)を決してね。
その羽を、ギリシャ神話のイカロスの翼にするもしないも君次第だ。
ありがとうと、呟いてごらん。
ありがとう、と、心を込めて三度呟いてごらん。
そのとき、天使の羽は、最強になる。
「君の天使たち─2─」
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