【秋の胃腸トラブル】下痢と便秘を繰り返すのはなぜ?考えられる原因と5つの対策 | 福岡の内科外科院長のブログ

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朝は急にお腹が痛くなってトイレに駆け込んだのに、数日たつと今度は何日も出ない。そんな状態が続いて、「どこか悪いのでは」と不安になっていませんか。

 

下痢と便秘が入れ替わるように繰り返すと、とても落ち着かないものです。10月は朝晩の冷え込みや寒暖差が大きくなり、胃腸の調子を崩して相談に来られる方が増える時期でもあります。

 

「病院に行くほどではないかも」と迷いながら、毎日トイレのことが頭から離れない。そんなお悩みは、外来でも本当によくうかがいます。

 

この記事では、診察室でお話しするつもりで、考えられる原因、ご自宅でできる5つの対策、そして医療機関に相談したほうがよい目安を整理しました。

 

 

 下痢と便秘を繰り返すのはなぜ?考えられる原因

 

 

多くは「腸の動きの乱れ」が関わっています。ただし、まれに病気が隠れていることもあるため、見極めが大切です。便通の乱れは、体調や生活の変化がそのまま映し出される、いわば「おなかの通信簿」のようなものと考えてみてください。

 

 

 自律神経の乱れで腸の動きが不安定になる

 

 

腸は自律神経によって動きが調節されています。秋は気温差が大きく、体は常に温度調節をしているため、自律神経が疲れやすい季節です。腸の動きが速くなりすぎると下痢に、遅くなりすぎると便秘になり、この両方が交互に出ることがあります。緊張する会議の前や通勤中に急にお腹が痛くなる、という方も、この仕組みが関係していることが少なくありません。

 

 

食事や生活リズムの乱れ

 

 

夏に冷たい飲み物や食べ物が続いた影響が、秋になって出てくることもあります。また、食物繊維や水分が足りない、食事の時間が不規則、睡眠不足といった要素も、便通の乱れにつながります。

 

 

便秘の陰に隠れた「水のような便」

 

 

便秘が長引くと、硬い便が詰まった隙間から水状の便が漏れ出てくる状態(溢流性下痢)のことがあります。下痢だと思っていたら、実は便秘がもとになっていた、というケースです。この場合、自己判断で市販の下痢止めを飲むと詰まりが酷くなり悪化する危険があります。

 

 

過敏性腸症候群などの機能的な不調

 

 

検査をしても大きな異常は見つからないのに、腹痛を伴って下痢や便秘が続くタイプがあります。過敏性腸症候群と呼ばれる状態で、ストレスや緊張で症状が出やすいのが特徴です。ただし、これは他の病気を除外したうえで判断するもので、自己判断はできません。

 

 

大腸の病気が関係している場合も

 

 

大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患など、検査ではじめて分かる病気で便通が変わることもあります。頻度が高いわけではありませんが、「いつもと違う」状態が続くときは、一度チェックしておくと安心です。

 

 

 

 ご自宅でできる5つの対策

 

 

 

 対策1:温かく消化にやさしい食事を基本にする

 

 

おかゆ、うどん、野菜をやわらかく煮たスープなど、胃腸に負担の少ない食事を心がけましょう。冷たい飲み物、脂っこいもの、香辛料、アルコール、カフェインのとりすぎは、腸を刺激しやすいので控えめにします。

 

 

対策2:食物繊維は「種類」と「量」を意識する

 

 

海藻、オクラ、果物、オートミールなどの水溶性食物繊維は、便をやわらかく整えてくれます。一方、ごぼうやきのこなど不溶性食物繊維を一度にたくさん食べると、お腹が張ったり下痢を悪化させたりすることがあります。水分もこまめにとりましょう。いきなり量を増やすのではなく、食事の中に少しずつ取り入れ、お腹の反応を見ながら調整するのがコツです。

 

 

 対策3:睡眠と休息を優先する

 

 

腸の働きを支える自律神経は、睡眠不足や疲れがたまると乱れやすくなります。就寝前のスマートフォンを控える、休日に寝だめしすぎないなど、できる範囲で生活リズムを整えてください。深呼吸や軽いストレッチ、好きな音楽を聴く時間など、気持ちが緩む習慣を1日の中にひとつ持つことも、腸にはやさしく働きます。

 

 

対策4:お腹と体を冷やさない

 

 

秋は日中と朝晩の気温差が大きく、お腹が冷えやすくなります。腹巻きや薄手の羽織りで調整し、冷たい飲み物は常温か温かいものに替えてみましょう。シャワーだけで済ませず湯船にゆっくりつかるのもおすすめです。

 

### 対策5:排便のリズムをつくり、記録をつける

 

朝食後は腸が動きやすいタイミングなので、トイレに座る習慣をつけましょう。便意を我慢しないことも大切です。あわせて、「いつ・どんな便が出たか・腹痛の有無」を簡単にメモしておくと、受診の際に診察の助けになります。スマートフォンのメモ機能で十分です。

 

 

 様子を見てよい場合と、受診を考えたほうがよい場合

 

 

 

様子を見てよい目安

 

 

一時的な症状で、食事や睡眠を見直すと数日から1週間ほどで落ち着いてくる場合は、まず上記の対策を試してみてください。血便や体重減少がなく、普段の生活が送れている状態であれば、慌てる必要はありません。ただし、数日おきに良くなったり悪くなったりを繰り返しながら長引く場合は、「そのうち治るだろう」と先延ばしにせず、早めに一度相談してみてください。

 

 

早めに医療機関へ相談したい症状

 

 

次のような場合は、我慢せずご相談ください。

 

- 血便がある、または黒っぽい便が出る

- 原因に心当たりがないのに体重が減ってきた

- 発熱や強い腹痛、嘔吐を伴う

- 夜中に腹痛や下痢で目が覚める

- 下痢や便秘が数週間以上続いている

- 40歳を過ぎてから、急に便通が変わった

- 家族に大腸の病気になった方がいる

 

なお、下痢が続いて水分がとれない、ぐったりするといった場合は、脱水の心配もあるため早めの受診をおすすめします。

 

 

 

 診察室で感じること

 

 

診察室では、「こんなことで受診してもいいのでしょうか」と遠慮される方が少なくありません。しかし、下痢や便秘はとても身近な症状であり、気軽にご相談いただいて大丈夫です。

 

症状や便の状態、生活のご様子をうかがったうえで、必要に応じて診察や検査を検討します。大腸の状態を直接確認する大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、原因を調べる方法のひとつです。「異常がなかった」と分かるだけでも、大きな安心につながります。原因がはっきりすれば、食事や生活の工夫も的を絞って考えられますし、必要な場合には、症状に合わせたお薬の使い方も一緒に相談できます。市販薬を自己判断で飲み続けるより、一度ご相談いただくほうが回復の近道になるでしょう。

 

 

 

 最後に

 

 

下痢と便秘を繰り返す背景には、秋の寒暖差による自律神経の乱れや、食事・生活リズムの影響が関わっていることが多くあります。まずは、温かい食事、食物繊維と水分のバランス、睡眠、冷え対策、排便リズムの5つを無理のない範囲で試してみてください。

 

血便、体重減少、発熱、数週間以上続く症状などがある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。「いつもと違う」という感覚は、体からの大切なサインです。不安を一人で抱え込まず、秋の不調を整えるきっかけにしていただければと思います。

 

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。