杉浦日向子作コミック『百日紅』
葛飾北斎と娘お栄の日々を描いた漫画です。
亡き杉浦日向子さんが1987年までに発表した作品。
この漫画の一部を原作にした映画「おーい、応為」をちょっと前に見てから、ちびちび読み返していました。
私の持っている本は1995年に出版された杉浦日向子全集の上下本で大きい造りの本なので、ゆったり読めます。(ちょっと持ち重りしますけどね)
のせいなのか、絵のことばかり考えて過ごしている父娘の生活は浮世離れしたのほほんとしたものと捉えていました。
が、映画に描かれていたのは絵描きの業のようなものでした。
お栄も、もがいていました。
天才絵師を父に持った宿命か、絵を見極める眼を持ってしまったが故に、自分の納得できる絵を描けるのか、それ以前に女である自分が描いていいのか、お栄は悩んでいました。
漫画でも己の心を持て余して衝動的な行動に出る部分はあるので、それは私の読み不足。
それに父娘の情のようなものも、映画ではさらっとではあるけれどあちこちに描かれていました。
やはり生身の役者さんは凄いです。言葉の言い方一つでそういうものが感じられるのですから。
お栄の絵を認めて応為という画号を与える場面などは、北斎の隠しきれない嬉しさがほの見えて良かったです。
原作漫画と実写映画、それぞれ別のものでいいのだと改めて思いました。今更ですが…。
この漫画は大事に折々読み返したいです。
で、映画「おーい、応為」でお栄の母親役、北斎の別居している妻を寺島しのぶさんが演じていらっしゃいますが、他の映画「八犬伝」では滝沢馬琴の妻役で夫の友の北斎を罵ったりしてました。
あの「国宝」でも熱演で、凄い女優さんです。
今年は映画をがんばって見に行きました。
9作かな?
配信でもいくつか見ましたが、やはり映画館での没入感には敵わない。
夫は暗くなると秒で寝る癖があるので、大体一人で行きますけど。朝一の回見てご飯食べて買い物して、というのがよい感じです。
来年もがんばろ。