有川ひろ著『みとりねこ』


猫のいる暮らしを描いた物語集です。

7編の話が収められています。


最初の2編は“旅猫リポート外伝”とあるように、著者の以前の著作『旅猫リポート』では書かれなかった別のお話。

『旅猫リポート』は映画化もされた、猫を飼えなくなった青年が限りのある時間の中で新しい飼い主を探して知人を訪ねて旅をするお話なのですが。

「ハチジカン」は青年が子供の時に経験した悲しい別れが描かれ、「こぼれたび」は猫を連れて恩師を訪ねる話。どちらも猫の視点で描かれています。

でこの二つのお話、場所を考えて読まないとダメなやつです。油断してるとヤられるお話。


他のお話は


妻が里帰り出産から戻って来るのに仔猫を拾ってしまった新米父親。妻から罵倒されつつ子育てと猫育てに奮闘する。「シュレーディンガーの猫」


共に育った人間の男の子が悲しむから、男の子より1日でも長生きしたい、そのために妖怪猫又になりたい。いつか猫又になるための書類が送られてくるから、その時のために肉球ハンコの練習に励む猫。「みとりねこ」


やはりどれもダメなやつです。

独りでひっそり読むべき本。

にやにやしたり、こみ上げてくるものを抑えたり、感情か忙しい物語集です。


私が猫派だからかな。

我が家はみんな猫派なんですが。