アルバムを通して聴くと、実によく構成されていることに気づかされます。起承転結がしっかりしているというか、曲調と曲順のペース配分が完璧で、このCD1枚がそのままライブセットとしても、とてもよく練られ完成されていると感じました。始まりは大人っぽくクールでタイト、曲が進むごとに熱気を帯びてきて、飽和状態に達し、それがしばらく続いたかと思うと、抑えめの曲で一度クールダウンさせておいて、最後にもうひと山大きく盛り上がり、そして締めの曲では波が引いた後の浜辺のような、心地よい気怠さを残して軟着陸。という具合に、もてなし上手の名ホストのパーティーにお呼ばれしたかのように、クラブミュージックにはとんと無縁な自分のような者でもすっかりくつろいで楽しむことができました。
このように、清濁併せ呑んだバラエティに富んだ楽曲なのに、アルバム全体としては不思議ととても統一感があるのは、実は、曲がどんなに行こうと佇まいを変えず、重心を低いところに保ったままの、惚れ惚れするほど不動なベースにその秘密の一端があるんじゃないか、そして、ウワモノ楽器たちがベースの上に安心して乗っかって、音空間を自由に広がって行けるのも、長年一緒にやっているバンドだからこその信頼関係によるものではないかと邪推しています。
是非とも生で観てみたいものです。